研究課題/領域番号 |
17H03388
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
熊田 伸弘 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (90161702)
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研究分担者 |
柳田 さやか 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (40579794)
武井 貴弘 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (50324182)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 水熱反応 / ビスマス酸化物 / 結晶構造解析 / 光触媒 / 超伝導 |
研究実績の概要 |
水熱反応を用いてこれまでに多くの新しい化合物を合成し、その結晶構造解析および特性評価を行ってきた。平成29年度は①複合アニオン化による新しい化合物の探索、②酸化還元剤の導入による異常原子価酸化物の探索および③D2Oなどの同位体を用いた水熱反応機構の解明を目的として研究を行い以下の成果を得た。 ①複合アニオン系では出発物質として水和三酸化ナトリウムビスマスを用いて遷移金属硝酸塩あるいは塩化物を用いた水熱反応によってそれぞれ硝酸基あるいは塩素を含む化合物を合成することができた。硝酸塩を含む化合物については結晶構造解析の結果、強誘電性の可能性があることがわかった。硫酸塩を用いた場合には多くの新しい化合物が得られたが、その結晶構造の解明には至っていない。硫酸を用いた水熱反応では新しい化合物であるBiOHSO4を合成することができ、その結晶構造を明らかにした。 ②水和三酸化ナトリウムビスマスを用いた水熱反応では5価のビスマスを含むBaBi2O6を合成することができ、その結晶構造の精密化を行うとともに可視光下での光触媒活性があることを明らかにした。また金属性を持つパイロクロア型Ca2Bi2O7およびSr2Bi2O7を合成することに成功しその結晶構造の精密化を行った。現在その特性評価を行っている。また、混合原子価を持つナトリウム酸ビスマスの合成および結晶構造の解明に成功し、今後その電子構造や光触媒活性について検討する予定である。 ③同位体を用いた水熱反応の機構解明についてはH2Oを完全にD2Oに置換することが困難であることが判明したためこの取り組みについては現在中断している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水熱反応を用いた物質探査では多くの化合物を合成することに成功しており、平成29年度は5編の学術論文を投稿し、そのうち2編は掲載され3編については審査中である。さらに2編について投稿の準備を進めており、順調に研究成果を公表している。しかし、水熱反応の機構解明については当初計画通りに行われず今後検討が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
水熱反応による物質探査については順調に研究が進んでおり、新しく合成された化合物について結晶構造解析を行うとともに誘電特性、光触媒活性および超伝導性等の特性評価を行っていく。水熱反応の機構解明については計画時の試薬が高価であり、予備実験も不可能であることから、他の手法による水熱反応の機構解明の検討を行う。
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