研究課題/領域番号 |
17H03391
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
籠宮 功 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40318811)
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研究分担者 |
松田 巌 東京大学, 物性研究所, 准教授 (00343103)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 酸素透過性セラミックス |
研究実績の概要 |
酸素透過性セラミックスの表面交換反応の評価法として酸素透過測定が応用できるが、これまでの本手法は酸化物イオンのバルク拡散が支配的と仮定しているため、酸素透過における表面交換反応の影響を正確に考慮することが困難であった。表面交換反応が支配的な場合、検出される酸素透過速度によって導出される酸素ポテンシャル差を過大評価する原因となる。また酸素透過速度の実測値は測定試料厚の減少に伴って(表面積)/(体積)が増加し表面交換反応の影響が強くなるため、理論値に従わず飽和する傾向がある。そこで本研究は酸素透過測定から表面交換反応の影響を正確に評価する手法を検討した。これより酸素透過性セラミックスの各温度における酸素透過速度と表面交換反応の関係を調査した。 La-Ca-Fe系の試料について、酸素透過速度の温度依存性を測定した。測定温度は800 - 1000℃、高酸素分圧側を大気とし、低酸素分圧側にHeガスを5 - 40 sccm流した。以上の高/低酸素分圧差間の酸素ポテンシャル差をNernstの法則より起電力に換算しE_tとした。試料の表面とガス中の酸素ポテンシャル差については8%イットリアドープジルコニアからなる円錐形微小電極および金電極を試料表面に接触させ、酸素ポテンシャル差による起電力E_sを測定した。バルク間の酸素ポテンシャル差はE_b= E_t-E_sより見積もった。温度の低下に伴いE_b はほぼ一定にもかかわらず、E_sが増加したことから、本対象試料は温度低下とともに表面交換反応が支配的になることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2018年度に酸素透過測定装置の故障があったため、一部予定よりも酸素透過測定の実施が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
酸素透過測定装置の修理が完了したため、本装置により、効率的かつ重点的に表面交換反応を評価する。一方で、XPSにて、酸素透過性セラミックスの表面状態を調査し、両者の相関の有無を検討する。
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