研究課題
本研究課題では、前駆体から分子設計を行い、無機ナノユニットを形態制御合成し、それらを前駆体に用いた光触媒合成プロセスの開発を目指している。3年度目である2019年度においては、まず前年度に引き続き、液相プロセスを活用して、無機ナノユニットの形態制御合成について検討を行い、さらにそれらを可視光応答光触媒として期待される酸窒化物に転換する手法の開発を実施した。さらに、得られた酸窒化物について、可視光応答水分解光触媒活性について、犠牲剤を用いた酸素発生半反応を中心に検討を行った。まず、無機ナノユニットの形態制御合成については、前年度までのLa-T系、Sr-Nb系に加え、新たにSr-Ta系の酸窒化物の固体窒素源を用いた合成について検討を行った。Sr-Nb系と同様に、水溶性タンタル錯体と水酸化ストロンチウムを前駆体とした水熱合成によって層状ペロブスカイト化合物であるSr2Ta2O7が合成できた。しかし、これと尿素を用いてSrTaO2Nの合成を試みたが、SrTaO2Nは単相では得られなかった。そこでゾル-ゲル法で非晶質の酸化タンタルゲルを調製し、これと水酸化ストロンチウムを用いて尿素を窒素源としたSrTaO2Nの合成を試みたところ、単相でSrTaO2Nを得ることができた。Zn-Ga LDHを前駆体に用いたGaN:ZnO合成においては、固体窒素源として、尿素だけでなくメラミンやC3N4を用いて単相で合成できた。その微細構造をGa 固体NMR測定で評価したところ、Gaまわりの配位環境が用いた窒素源で大きく異なっていることが明らかになった。さらにこれらについて犠牲剤を用いた酸素発生半反応で可視光応答水分解光触媒活性の評価を行ったところ、光触媒活性においても差が生じ、C3N4を用いて合成したGaN:ZnOが高い光触媒活性を有することを示唆する結果が得られた。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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