研究課題/領域番号 |
17H03400
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
多田 英司 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (40302260)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 表面処理 / 亜鉛めっき鋼板 / 電気化学 / 腐食生成物 / 表面改質 |
研究実績の概要 |
本研究は,Zn系めっき鋼板の耐食性を革新的に向上させることを目的として,その優れた耐食性が現在注目されているZn-Al-Mg合金について,高耐食化機構の解明とさらなる耐食化への指針を得ることを最終的なねらいとしている.そのため,本研究のミッションとして,以下の二つを遂行する;(1)添加元素でありながら依然としてその耐食性向上機構が未解明であるMg,Alの作用機構を明らかにする;(2)初晶Zn(Al)とZn/Al/MgZn2三元共晶が不均一分散したヘテロ構造を有するZn-Al-Mg合金に対して,組織制御によって高耐食化を図る指針を獲得する. 昨年度の研究で溶製した各種Zn-Mg,Zn-Al-Mg合金について,千葉県銚子暴露試験場および沖縄県宮古暴露試験場にて,1年の大気暴露試験を開始した.暴露試験の途中において一部の腐食サンプルを回収し,表面観察および顕微ラマン分光分析による腐食生成物の分析を行った.また,Zn-Mg合金のアノード分極特性および電気化学インピーダンス測定を実施し,腐食特性を評価した. 6ヶ月大気暴露試験したZnおよびZn-Mg合金についてみると表面に腐食が発生していること,Znに比べZn-Mg合金の腐食損傷が少ないこと,顕微ラマン分光分析結果から腐食生成物は主に塩基性炭酸亜鉛であることなどが示された.また,ZnおよびZn-Mg合金のアノード分極挙動には大きな違いがないことなどが明かになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度予定していたZn-MgおよびZn-Mg-Al合金の暴露試験を実施し,腐食生成物の分析,電気化学測定による腐食特性評価をすることができた.これによりおおむね予定していた研究について計画通り順調に進行している.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,材料組織と電気化学特性の関係,暴露試験サンプルにおける腐食分布と表面断面組織との関係を明らかにすること,腐食特性を向上させる材料組織について数値シミュレーション等により検討する.得られた結果をもとに,Mg,Al添加による高耐食化機構組織の微細・均一化による耐食性向上指針をまとめることで研究を総括する.
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