研究課題/領域番号 |
17H03405
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大森 俊洋 東北大学, 工学研究科, 准教授 (60451530)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マルテンサイト変態 / 界面 / 形状記憶合金 / 制振合金 |
研究実績の概要 |
マルテンサイト相界面の易動度は、マルテンサイト相界面の格子整合性に強く関係していると考えられる。そこで、マルテンサイト相の構造と格子整合性の組成依存性の調査を行った。 (1)Cu-Al-Mn合金(不規則または規則単相合金):Cu-Al-Mn合金の母相は、特にAl濃度に依存してA2不規則相からL21規則相まで変化する。これら構造を変化させたときの母相とマルテンサイト相のX線回折を行ったところ、A2/2M,L21/6M,L21/2Oのタイプの変態が確認でき、境界組成領域においてはマルテンサイト相が混在していることがわかった。 (2)Fe-Mn-Al-Ni(不規則+規則相ナノ析出型合金):Fe-Mn-Al-Ni合金はA2母相中にNiAlのB2相がナノ析出する。Ni量を0から10%まで変化させ、結晶構造やナノ析出物、マルテンサイト相の構造を調査した。Ni量が約5%未満ではB2相は析出せず、マルテンサイト相は2M構造であった。Ni量が5%以上でB2相が析出し、Ni量の増加と共にそのサイズが増大していた。マルテンサイト相中にナノ双晶が含まれるようになり、同時に、B2析出物が、おそらく弾性的な、シアー変形を受けることが確認できた。ナノ双晶の周期性をHAADF-STEMを用いて詳細に調査したところ、Ni量との関係性があることが判明した。B2析出物とナノ双晶の整合関係が、マルテンサイト変態の可逆性や界面易動度に関係していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた実験とそれに基づく考察を行うことができた。特にFe-Mn-Al-Ni合金におけるナノ析出の影響を明らかにすることができ、本合金系における熱弾性型変態の本質に迫ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
計画に従って実験を推進していく。内部摩擦の評価を取り入れ、より定量的に界面易動度を調査していく予定である。
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