研究課題/領域番号 |
17H03431
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山崎 倫昭 熊本大学, 先進マグネシウム国際研究センター, 准教授 (50343885)
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研究分担者 |
眞山 剛 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (40333629)
井上 晋一 熊本大学, 先進マグネシウム国際研究センター, 特任助教 (30792585)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マグネシウム合金 / 長周期積層構造 / ヘテロ組織 / 腐食防食 / 応力腐食割れ |
研究実績の概要 |
長周期積層(LPSO)構造相が強化相として働くため高い強度を示すものの、そのLPSO相と母相との大きな電位差により腐食しやすいMg/LPSO二相合金展伸材に対して、耐食性を高める電気化学的均質性と、強度と延性という相反する特性を同時発現させる幾何学的不均質性を同時に付与する合金設計手法を確立することで高耐食高強度Mg/LPSO二相合金の開発を目指す。 具体的には、「Mg/LPSO二相合金における構成相間電位差制御手法の確立」と「電気化学的均質性を考慮した塑性加工技術の開発」を行い、これら技術を融合することで電気化学的ホモ組織と幾何学的ヘテロ組織を両立する合金成分・プロセス設計手法を確立する。 LPSO相が熱処理によって析出するMg-Zn-Gd系合金にAlを添加した際のLPSO相が示すSKPFM表面電位に関する基礎的知見と静的な腐食挙動に関するデータを得た。第四元素として添加するAlの役割がMg-Zn-Y系とMg-Zn-Gd系では異なり,前者ではAlの微量添加は腐食皮膜の改質を促し,後者においてはLPSO相の電位を卑にすることが明らかになりつつある。また、Mg/LPSO二相Mg-Zn-Y合金押出材を作製しその耐食性と耐応力腐食割れ性の評価を行い、押出加工によって発達する結晶方位異方性が腐食挙動に大きな影響を及ぼし、押出方向垂直面が押出方向平行面よりも耐食性が優れていることを明らかにした。さらには、LPSO相およびα-Mg相加工粒の繊維状集合組織が応力腐食割れの進展抑制に大きく寄与していることが明らかになりつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヘテロ組織を有するMg/LPSO二相Mg-Zn-Y系合金押出材をモデル試料として応力腐食割れ挙動に関する基礎的知見が系統的に得られている。特にLPSO相およびα-Mg相加工粒の繊維状集合組織が微細な再結晶粒領域に高分散することで応力腐食割れの進展抑制に大きく寄与していることが明らかになりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
合金成分設計においては合金内部組織の相構成成分とその相構造が電気化学的均質性に与える影響の調査を行う。プロセス設計においては幾何学的因子が電気化学的均質性に与える影響の調査を行う。 (1)相構成成分と相構造が電気化学的均質性に与える影響の調査:Mg-Zn-RE合金中に形成されるLPSO相を構成する元素種とその濃度を変えた際の表面電位の変化を調査する。 (2)表面電位と腐食挙動の相関関係の調査:多結晶における幾何学的不均質性が腐食挙動に及ぼす影響を調査するための基礎研究として、結晶面方位と表面電位の関係を純Mg金属を用いて調査する。 (3) Mg/LPSO二相合金展伸材試作とその静的耐食性と耐SCC性評価:高強度を示すMg-Zn-Y合金および耐食性を高めたMg-Zn-Y-Al合金の押出材を試作し、その静的な腐食特性を調査するとともに耐SCC性の評価を行い、SCC挙動に及ぼす金属組織因子の抽出を行う。 (4) 平成30年度に導入したアコースティックエミッション装置を用いて、塩水浸漬時の合金表面および内部での腐食現象発生をその場計測する手法の確立を目指す。
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