研究課題
最終年度では、さらなる高強度化を目指し硬質層の含有炭素量の増大に関する試作検討と積層構造により生じる異材層間の相互作用の解明に取り組んだ。具体的には、高炭素鋼層として、昨年度(0.45%C)よりも含有量を増大させた0.65%C鋼を用いた。高炭素鋼と低炭素鋼の各種積層割合を有するサンドイッチ型積層構造を実験により作製した。接合体を得るための圧縮条件は昨年度と同様オーステナイト域圧縮を基本とし、圧縮後のガス急冷速度を早くして極力マルテンサイト層の軟化が起こらないような条件で試作した。得られたサンプルの組織を光学顕微鏡や背面反射電子線回折図形(EBSD)測定により詳細に明らかにした。その結果、高速冷却条件では低炭素鋼層の体積率が低い条件における異常強化は見られなかった。冷却中の組織変化の詳細を明らかにするために、構成層の個々の炭素鋼の連続冷却変態図(CCT図)を測定し、変態熱や変態ひずみと積層材組織の関係について明らかにした。その結果、冷却速度が速い場合、低炭素鋼層の変態ひずみが高炭素鋼層の拡散変態を促進し、当初予想されなかった軟化現象が生じることを明らかにした。さらに、高炭素鋼を中心に配置し、低炭素鋼を表層に配置した幅100mm程度の板材を熱間プレスおよび熱間圧延により試作した。塑性変形を行う前の組み合わせの方法として、鋳造を利用し、鋳型と溶融金属を鋳造の際にわざと溶着させる方法が有効であることを明らかにした。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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