研究実績の概要 |
本年度は、鉄鋼中の様々な介在物をカソードルミネッセンス法によって検出する手法の確立を目指した。鉄鋼中の介在物は伸線・撚線工程での破断、疲労破壊、水素誘起割れ、表面の疵、連続鋳造におけるノズル閉塞などの問題を引き起こすので、介在物分析は鉄鋼生産において重要である。 本研究では、BN, AlNおよびCaO-Al2O3系介在物をCL測定によって検出および識別できるか検討した。CL像を撮影することで、BNについては青色の発光を示し、5マイクロメートル以上の介在物を、AlNについては青色の発光を示し、20マイクロメートル以上の介在物を検出することができた。AlN介在物は、発光色からAl2O3と識別することもできた。CaO-Al2O3系介在物については、Ca12Al14O33, CaAl2O4, Ca3Al10O18, CaAl4O7, CaAl12O19の5種類の化合物のCLスペクトルをもとに、CL像を撮影することで発光色から、連続鋳造においてノズル閉塞およびストッパー溶損を引き起こさないCaAl2O4およびCa3Al10O18をCa3Al2O6, Ca12Al14O33, CaAl4O7, CaAl12O19と識別することができた。 また、X線励起ルミネッセンス(XEOL)法を用いたはAl2O3介在物とMgAl2O4介在物の識別できるか検討した。XEOL法は大気中でも測定が可能であるため、介在物のオンライン分析に応用できる可能性がある。そこで、Al2O3介在物とMgAl2O4介在物を含む試料のXEOL像を撮影したところ、発光色からAl2O3介在物(青色あるいは赤色)とMgAl2O4介在物(緑色)を識別できた。655nm以上の光を除去するフィルターを用いてXEOL像を撮影すると、Al2O3介在物はすべて青色に発光するので、より容易にAl2O3介在物とMgAl2O4介在物を識別できた。
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