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2017 年度 実績報告書

鉄鋼関連材料の新しい迅速分析法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 17H03435
研究機関東北大学

研究代表者

今宿 晋  東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (40606620)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードカソードルミネッセンス / 窒化物介在物 / CaO-Al2O3介在物 / 鉄鋼材料
研究実績の概要

本年度は、鉄鋼中の様々な介在物をカソードルミネッセンス法によって検出する手法の確立を目指した。鉄鋼中の介在物は伸線・撚線工程での破断、疲労破壊、水素誘起割れ、表面の疵、連続鋳造におけるノズル閉塞などの問題を引き起こすので、介在物分析は鉄鋼生産において重要である。
本研究では、BN, AlNおよびCaO-Al2O3系介在物をCL測定によって検出および識別できるか検討した。CL像を撮影することで、BNについては青色の発光を示し、5マイクロメートル以上の介在物を、AlNについては青色の発光を示し、20マイクロメートル以上の介在物を検出することができた。AlN介在物は、発光色からAl2O3と識別することもできた。CaO-Al2O3系介在物については、Ca12Al14O33, CaAl2O4, Ca3Al10O18, CaAl4O7, CaAl12O19の5種類の化合物のCLスペクトルをもとに、CL像を撮影することで発光色から、連続鋳造においてノズル閉塞およびストッパー溶損を引き起こさないCaAl2O4およびCa3Al10O18をCa3Al2O6, Ca12Al14O33, CaAl4O7, CaAl12O19と識別することができた。
また、X線励起ルミネッセンス(XEOL)法を用いたはAl2O3介在物とMgAl2O4介在物の識別できるか検討した。XEOL法は大気中でも測定が可能であるため、介在物のオンライン分析に応用できる可能性がある。そこで、Al2O3介在物とMgAl2O4介在物を含む試料のXEOL像を撮影したところ、発光色からAl2O3介在物(青色あるいは赤色)とMgAl2O4介在物(緑色)を識別できた。655nm以上の光を除去するフィルターを用いてXEOL像を撮影すると、Al2O3介在物はすべて青色に発光するので、より容易にAl2O3介在物とMgAl2O4介在物を識別できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成29年度の目標である、カソードルミネッセンス法による鉄鋼中の様々な介在物を識別できることを示し、これらの介在物の発光メカニズムを解明できたから。

今後の研究の推進方策

カソードルミネッセンス法を製鋼スラグ中のフリーCaOおよびフリーMgOの迅速同定に応用する。また、X線励起ルミネッセンス法を用いた大気中での製鋼スラグ中のフリーCaOおよびフリーMgOの検出が可能かを調査する。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Cathodoluminescence analysis for rapid identification of alumina and MgAl2O4 spinel inclusions in steels2017

    • 著者名/発表者名
      Imashuku Susumu、Ono Koichiro、Shishido Rie、Suzuki Shigeru、Wagatsuma Kazuaki
    • 雑誌名

      Materials Characterization

      巻: 131 ページ: 210~216

    • DOI

      dx.doi.org/10.1016/j.matchar.2017.07.016

    • 査読あり
  • [雑誌論文] X-Ray Excited Optical Luminescence and Portable Electron Probe Microanalyzer-Cathodoluminescence (EPMA-CL) Analyzers for On-Line and On-Site Analysis of Nonmetallic Inclusions in Steel2017

    • 著者名/発表者名
      Imashuku Susumu、Ono Koichiro、Wagatsuma Kazuaki
    • 雑誌名

      Microscopy and Microanalysis

      巻: 23 ページ: 1143~1149

    • DOI

      10.1017/S1431927617012685

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cathodoluminescence imaging for detecting non-metallic inclusions in steel2017

    • 著者名/発表者名
      Imashuku Susumu、Ono Koichiro、Wagatsuma Kazuaki
    • 雑誌名

      ALC'17 Proceedings

      巻: 49 ページ: 2868~2874

  • [学会発表] カソードルミネッセンス法を用いた鋼中の窒化物の分析2018

    • 著者名/発表者名
      今宿 晋
    • 学会等名
      マイクロビームアナリシス第141委員会 第171回研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 製鋼スラグ中の遊離CaO相の新規分析手法の検討2018

    • 著者名/発表者名
      常田 大喜, 今宿 晋, 我妻 和明
    • 学会等名
      日本鉄鋼協会 学術部会 3フォーラム合同シンポジウム「最先端解析技術を用いた金属材料の特性解析と制御」
  • [学会発表] カソードルミネッセンス法を用いた鋼中の窒化物の分析2018

    • 著者名/発表者名
      今宿 晋,我妻 和明
    • 学会等名
      日本鉄鋼協会第175回春季講演大会
  • [学会発表] カソードルミネッセンス法による転炉スラグ中に含まれる遊離石灰の簡便な分析法の開発2018

    • 著者名/発表者名
      常田 大喜, 今宿 晋, 我妻 和明
    • 学会等名
      日本鉄鋼協会第175回春季講演大会
  • [学会発表] ルミネッセンス現象を利用した鋼中の非金属介在物の評価法2017

    • 著者名/発表者名
      今宿 晋
    • 学会等名
      日本鉄鋼協会 学術部会 3フォーラム合同講演会 「複雑な挙動を示す物質の特性や構造」
  • [学会発表] カソードルミネッセンス法による鉄鋼中の介在物の迅速な分析方法の確立2017

    • 著者名/発表者名
      今宿 晋
    • 学会等名
      日本学術振興会製鋼第19委員会製鋼計測化学研究会第69回会議
  • [学会発表] 鉄鋼材料の迅速分析法の確立2017

    • 著者名/発表者名
      今宿 晋
    • 学会等名
      第134回東北大学金属材料研究所講演会
  • [学会発表] 転炉スラグ中に含まれるライム相のカソードルミネッセンス法を用いた分析2017

    • 著者名/発表者名
      常田 大喜, 今宿 晋, 我妻 和明
    • 学会等名
      第134回東北大学金属材料研究所講演会
  • [学会発表] 転炉スラグ中に含まれるライム相のカソードルミネッセンス法を用いた分析2017

    • 著者名/発表者名
      常田 大喜, 今宿 晋, 我妻 和明
    • 学会等名
      第16回日本金属学会東北支部研究発表大会
  • [学会発表] Cathodoluminescence imaging for detecting non-metallic inclusions in steel2017

    • 著者名/発表者名
      Susumu Imashuku, Koichiro Ono, Kazuaki Wagatsuma
    • 学会等名
      11 th International Symposium on Atomic Level Characterizations for New Materials ’17 (ALC'17)
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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