研究課題/領域番号 |
17H03435
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
今宿 晋 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (40606620)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | カソードルミネッセンス / スラグ / フリーライム(f-CaO) / フリーマグネシア(f-MgO) |
研究実績の概要 |
本年度は、製鋼スラグ中のフリーCaOおよびフリーMgOをカソードルミネッセンス(CL)法によって検出する手法の確立を目指した。製鋼スラグは、生産量の約3分の1が道路用路盤材として再利用されている。製鋼スラグ中にはフリーCaOおよびフリーMgOが含まれており、フリーCaOおよびフリーMgOは水和反応および、その後の二酸化炭素との反応により体積が2倍程度膨張するので、道路を膨張・破壊させる原因となる。そこで、製鋼スラグ中に含まれるフリーCaOおよびフリーMgOを検出することは重要である。 フリーCaOを含む模擬製鋼スラグを作製して、フリーCaOをCL分析したところ、不純物として含まれるMn2+に帰属される600nmのCLピークにより橙色の発光を確認した。また、模擬製鋼スラグを70℃の温水に浸漬させる、エージング処理により生成した炭酸カルシウムも不純物として含まれるMn2+に由来する620nmのCLピークにより橙色の発光を確認したが、炭酸カルシウムには波長 690 nm 以上の範囲にもある程度の発光強度が認められたので、その波長以上の光を選択的に撮影することでフリーライムと炭酸カルシウムを識別することができた。 フリーMgOを含む模擬製鋼スラグを作製して、フリーMgOをCL分析したところ、フリーマグネシアは MgO 中に不純物として含まれる Mn2+に由来する 755nm のピークにより赤色の発光を確認した。エージング処理を行ってもなお、スラグ中に残留するフリーマグネシアを CL 法で分析できることも確認した。また、フリーライムとフリーマグネシアを CL 法で識別する方法の検討も行った。フリーライムには波長 700 nm 以上の波長範囲にピークは存在しないので、フリーマグネシアの755nmのピークを選択的に撮影することで識別が可能である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度の目標である、カソードルミネッセンス法による製鋼スラグ中のフリーCaOおよびフリーMgOを検出する手法を確立できたため。
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今後の研究の推進方策 |
カソードルミネッセンス法を用いて、耐熱鋼表面のスケール(Al2O3, SiO2, Cr2O3など)の種類、表面形態、膜厚を測定する手法の確立を目指す。
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