本研究では化学ポテンシャルを積極的に制御した半導体成膜プロセスの検討を,SnSを例として行った。Sn/MoS3積層膜を熱処理することで硫黄がMoS3側からSn側に拡散してSnSが得られるが,SnSの高い蒸気圧のため昇華してしまう問題が残った。一方,Zn/SnS2積層膜を熱処理することでZnS/SnS界面を有する試料を得ることに成功した。これは化学ポテンシャル図から想定される反応であり,本研究で検討したプロセスが有効であることを示している。さらに本研究遂行中にSnSの高い蒸気圧を利用したプロセスも着想し,SnとSnSの混合物を蒸留することでバルクおよび薄膜のSnSを得る手法も確立した。
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