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2017 年度 実績報告書

溶鉄‐溶融スラグ間の化学反応による界面張力変化の機構解明と定量的推算モデルの構築

研究課題

研究課題/領域番号 17H03437
研究機関大阪大学

研究代表者

田中 敏宏  大阪大学, 工学研究科, 教授 (10179773)

研究分担者 鈴木 賢紀  大阪大学, 工学研究科, 講師 (20610728)
中本 将嗣  大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), その他 (80467539)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード硫黄の影響 / マランゴニ流動
研究実績の概要

本研究では、溶鋼‐溶融スラグの界面張力が、両者の間で化学反応が生じる場合には、化学反応が生じている期間だけ低下するという古くから知られている現象について、いまだその原因と機構が明確でないことに対して、実験的および物理化学的モデルを構築することによって明確にすることを目的としている。特に本研究では、溶融スラグ中に含まれる硫黄の影響について検討することを目的としている。今年度は、高温において溶鋼‐溶融スラグ‐気相の3相が出会う点における界面の様子を直視するための特殊な装置を購入し、溶鋼上に溶融スラグ滴が接した直後からの接触角の変化を高速で記録できる装置の立ち上げを行った。また溶融スラグ中に含まれる硫黄の影響に関しても、硫黄濃度を変化させた際の溶鋼‐溶融スラグ間の接触角の時間変化を精度よく計測することに成功した。その結果、当初の予想(溶融スラグ中の硫黄は、溶鋼‐溶融スラグ間の界面張力に対して大きな影響は与えないという予想)に反して、硫黄濃度の増加と共に界面張力は一時的に低下する傾向が強くなることを実験的に見出した。さらに、硫黄濃度が一定値(溶融スラグ中の飽和溶解度)を超える際には、溶融スラグ表面の硫黄濃度が不均一のため、溶融スラグ滴が溶鋼に接触した際、界面での硫黄濃度とそれによる界面張力の変化の度合いが場所によって異なるため、マランゴニ流動が界面で生じ、溶鋼‐溶融スラグの界面が乱れ、その度合いは、溶融スラグ中の硫黄濃度の増加と共に激しくなることが明らかとなった。また今年度は、硫黄が含まれていない状態ではあるが、溶鋼‐溶融スラグ間において溶融スラグ中のSiO2が分解して溶鋼中に溶解する際と、さらに溶鋼中のAlがSiO2を還元する反応が生じる際の界面張力の低下の傾向を再現できる物理化学モデルの導出に成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

溶鋼上に溶融スラグ滴を落下して、接触した直後の接触角の変化をより精度よく計測するための高速度カメラを購入したが、実験装置の立ち上げはできたものの、数多くの溶鋼‐溶融スラグの組合せに対して、そのすべての実験に対する同装置の適用には至っていない。ただし、これまでの実験装置でも予定していた実験は済ませている。得られた成果は上記の項目で述べた取りである。また物理化学モデルの導出はすでに完了しており、論文の執筆もほぼ終えているので、順調に進展している。

今後の研究の推進方策

溶鋼‐溶融スラグ間の界面張力の化学反応による変化の計測は、水平な表面を有する溶鋼上に溶融スラグ滴を落下して、その接触角が、両者の成分間の界面を通じた移動または化学反応によって変化する様子を撮影して行っている。これまでは、通常の一眼レフカメラやビデオ装置で行っていたが、高温であるため発光状態での計測が難しく、さらに、両者の接触点をより拡大して計測することができれば、測定の制度は向上する。その目的のために高輝度下において高速記録が可能なカメラを導入した。H30年度はその計測カメラを用いた実験を試みる計画である。また、溶融スラグ中のB2O3の影響も調べる計画である。過去に溶融スラグ中のB2O3が溶鋼‐溶融スラグ間の界面張力に与える影響を調べた研究は行われていない。さらに、H29年度に導出した物理化学モデルを多成分系の溶鋼‐溶融スラグに対して拡張し、同モデルの妥当性を検討する計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 溶鉄-溶融スラグ間の化学反応による界面張力の動的変化2018

    • 著者名/発表者名
      田中敏宏、後藤弘樹、中本将嗣、鈴木賢紀、花尾方史、瀬々昌文、山村英明、吉川健
    • 学会等名
      日本鉄鋼協会第175回春季講演大会
    • 招待講演

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公開日: 2018-12-17  

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