研究課題/領域番号 |
17H03443
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
渡邉 哲 京都大学, 工学研究科, 講師 (80402957)
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研究分担者 |
宮原 稔 京都大学, 工学研究科, 教授 (60200200)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | コアシェル微粒子 / マイクロリアクタ / MOFs / ZIFs / ゲート吸着 / 複合化 |
研究実績の概要 |
本研究は,多孔性の配位錯体微粒子が示す構造転移に起因する特異な吸着挙動を制御し,所望の条件での構造 転移を示す材料設計指針の確立を目的とする。錯体微粒子の化学組成を試行錯誤的に変化させる従来の試みとは全く異なり,本研究のアプローチでは,粒子径・形状の制御および結晶複合化による相乗的な構造転移制御,そして,それによる吸着特性制御を目指す。本年度は,Soft MOFのコアシェル型粒子合成に向けて,Zeolitic Imidazolate Framework (ZIF)を対象のSoft MOFとして検討を行った。具体的には,コア粒子に亜鉛 イオンと2-methylimidazole (2-MIM)から構成されるZIF-8を,シェル部にコバルトイオンと2-MIMからなるZIF-67を用い,コアシェル複合化によるゲート吸着挙動への影響を検討した。具体的な内容は以下のとおりである。 A. ZIF-8コア粒子の合成:亜鉛イオンと2-MIMの水溶液を,マイクロリアクタで混合した。混合後,速やかに核生成が進行し,粒子径200 nm程度のZIF-8粒子が得られた。 B. ZIF-8@ZIF-67粒子の合成:Aで合成したZIF-8粒子とコバルトイオンの混合液と2-MIMをマイクロリアクタで混合した。コア粒子濃度が低いと,単独のZIF-67が析出したが,コア粒子濃度を大きくし界面を多く提供することで,コア粒子表面でのシェル形成反応が優先的に進行し,ZIF-8@ZIF-67 コアシェル型粒子が形成された。 C. 吸着特性評価:A, Bで合成した粒子の吸着等温線を測定したところ,コアシェル複合化することによって,ゲート吸着挙動が緩慢になることが明らかとなった。界面の形成によって,協働的に構造転移が誘起されるためと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究実施計画に沿って検討を行い,ほぼその目的を達することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
吸着による体積変化を伴わない系として,今年度に合成を試みたZIF-8@ZIF-67複合型MOF微粒子の特性を詳細に評価すべく,コ ア粒子のサイズ・シェル厚みを変化させ,それらが吸着挙動に与える影響を検討する。さらに,体積変化を示す系のモデルとして,銅錯体について,そのコア粒子サイズ・シェル厚みがゲート吸着挙動に与える影響を評価する。得られた結果の比較・検討を通して,Soft MOF のコアシェル複合化による界面形成が,どのようにゲート吸着挙動に影響を与えるか,さらにはSoft MOF自体の体積変化とどのように関係する かを,系統的に評価する。その上で,吸着挙動を予測し得る工学モデルの構築を目指す。
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