研究課題/領域番号 |
17H03449
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
荻野 勲 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (60625581)
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研究分担者 |
向井 紳 北海道大学, 工学研究院, 教授 (70243045)
岩村 振一郎 北海道大学, 工学研究院, 助教 (10706873)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 化学工学 / 反応・分離工学 / 触媒・化学プロセス / ナノ材料 |
研究実績の概要 |
本研究では,独自に開発した手法で,ゼオライト結晶内に金属超微粒子を固定化すること,そして,得られた触媒をメタンやエタノールなどの転換反応に利用することを目的としている。ゼオライト層状前駆体の特徴を活かす本手法は以下の2つの工程からなる。①極性溶媒に特定の添加物を混合した混合溶液を用いて,ゼオライト層状前駆体の層間から構造規定剤(SDA)を抽出除去し,同時に層間に金属微粒子の前駆体を導入する。②得られたナノシート凝集体を熱処理そして還元処理することで,層間に金属超微粒子が固定化された触媒を合成する。本年度の研究を実施することで,以下の成果が得られた。
まず,昨年度の検討で得られた成果をもとに,新しい手法を用いてCuやPtを担持した触媒を合成した。また,比較用として,一般によく用いられる含浸法で金属粒子を担持した触媒も調製した。そしてこれらの試料を本研究課題で新しく作製した昇温還元システムを用いて分析した。さらに,新たに構築した流通式反応装置を用いて,Cu担持触媒はメタンの転換反応に,Pt担持触媒はオレフィンの水素化,H2-D2交換反応において反応評価を行った。その結果,新手法を用いることでCuやPt超微粒子の高分散担持が可能であることが示唆された。また,市販のPt/SiO2触媒に比べ,新たに合成した触媒ではオレフィンの水素化とH2-D2交換反応において,H2-D2交換反応がより優位に進行することがわかった。このことから,新しい手法で合成した触媒では,小さな分子がアクセスできる空間にのみPt種が担持されていることが示唆された。このことから,合成した触媒を用いることで,分子ふるい的な機能が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度当初に予定していた反応評価に取りかかることができ,また昨年度まで検討していたPt担持触媒に加えて,Cu担持触媒の調製,反応評価も開始することができた。また,本研究で新たに導入した昇温還元反応評価装置も本格的に稼働し,有益なデータを収集できるようになった。以上より,本研究は,おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,触媒合成に加えて,触媒の反応活性評価を重点的に行なっていく。特に,エタノールやメタンの転換反応などを行い,本手法の有効性を実証することを目指す。また,本研究を通して得られた成果を,論文,国内・国際学会を通じて発表する予定である。
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