研究課題/領域番号 |
17H03450
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
脇原 徹 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (70377109)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ゼオライト / 結晶化 / 高速合成 / アルミノシリケート |
研究実績の概要 |
○工業的に重要な材料であるLTA型、FAU型、CHA型、MOR型、MFI型ゼオライトを研究対象とした。二液混合型流通合成装置は自作した。特に、昇温部分、冷却部分の温度プロファイルを正確に把握し、合成時間を厳格に規定できるよう工夫を行った。 ○ゼオライト合成中にアルミノシリケートがゲル化してしまうと管が閉塞してしまう。まず、二液混合型流通合成装置を用いずに通常のオートクレーブでゼオライトを合成、合成中の粘度変化を測定した。また、結晶性の時間変化はX線回折装置(XRD)、透過型電子顕微鏡(TEM)により評価し、ゼオライト超高速合成のための基礎的知見とした。 ○例えば、ゼオライト合成原料を熱伝導性の優れた金属チューブに封入し、オイルバス中で加熱することによりMFI型ゼオライトを合成したところ、220℃においてMFI型ゼオライト、CHA型ゼオライトがわずか3分程度で合成可能であることが分かった。なお、通常のオートクレーブを用いると合成には半日以上かかることが分かっており、本装置の優位性が示されたものと考えている。 〇二液混合型流通合成装置を用いた合成法もMFI,MOR,CHA型ゼオライトに関して成功した。特にMFI型ゼオライトに関しては、事前のエージングが必要であるものの20秒程度での合成に成功した。またCHA型ゼオライトに関しても60秒以内での合成に成功している。 〇LTA型ゼオライトに関しては、粘度上昇が大きく、流通管が閉塞してしまうため合成はうまくいっていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象とするゼオライトすべてにおいて高速合成化に成功し、一部は流通合成法を実現している。当初予定していた通りのペースで研究が進んでいると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
○反応操作あたりの収率向上のため、添加する原料混合物(スラリー状)は極力濃い方が望ましいが、反応操作中に粘度が急上昇してしまい、流通管の閉塞が起きてしまう。また、有機構造規定剤が壊れる前に極力高温で短時間に結晶化を完了させるためには反応操作のパラメータの調整が重要となる。これまでの研究で対象とするゼオライトの合成条件をかなり確定させることができたと考えているが、まだパーフェクトではないと考えている。引き続き主要操作パラメーターと生成物の状態(スラリーの粘度変化、結晶化度、平均粒径、粒径のばらつき等)の相関を明らかにする。
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