研究課題/領域番号 |
17H03451
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
伏見 千尋 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50451886)
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研究分担者 |
酒井 幹夫 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (00391342)
官 国清 弘前大学, 地域戦略研究所, 教授 (90573618)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ガス化炉 / 流動層 / 高効率ガス化 / 気固分離 / ダウナー / 反応速度 |
研究実績の概要 |
ダウナー型熱分解炉直下にBFBガス化炉を設置した実験条件下で熱媒体粒子として非多孔質炭素粒子を用いて石炭ガス化実験を行った。この結果、熱分解直後のCharおよびコークのガス化反応速度式を得ることができた。AspenPlus(ver. 8.6)とExcelを組み合わせて、三塔式循環流動層ガス化炉(TBCFB)のモデルを設計した。TBCFBガス化炉モデルにおいて800-900 Cのガス化効率の算出を行った。800 Cで85.0%, 900 Cで80.9%のガス化効率を出すことが可能であることを求めた。チャーに残存している水素分をH2ガスとして回収することができれば効率がさらに8.6%向上することも明らかにした。必要な粒子循環量やガス化炉の体積の試算をした結果、ガス化効率と反応器大きさの間にトレードオフがあり、それを考慮すると反応温度850 Cがベストであることを定量的に明らかにした。TBCFBガス化炉に用いる気固分離器について、ガスシールの気泡流動層への挿入による分離性能を常温常圧での実験により調べた。本実験装置における分離性能についてみると、いずれの条件においてもヘリウムガス濃度は0.20%未満であり、気固分離性能が高いことが分かった。ガスシールを粒子層に差し込むことにより、気体の分離が向上することがわかった。Discrete Element Method(以下、DEMと記す)とComputational Fluid Dynamics(以下、CFDと記す)を連成した固体-流体連成シミュレーション手法(DEM-CFD法)に、符号付距離関数と埋込境界法を融合した壁境界モデルとDEM粗視化モデル(分担者が独自開発したスケーリング則)を導入して、循環流動層のような複雑体系の数値シミュレーションを極めて簡単な操作で実行し、計算結果が実験結果とよく一致することを確認した。さらにCFDを用いて、ダウナー型熱分解炉の下部を小さくしたconical downerでの粒子濃度を測定し、従来のダウナーでの欠点である粒子濃度を大きくすることができることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
・プロセスシミュレータを用いて、TBCFBガス化炉の反応速度と粒子循環速度を考慮した全体の熱収支計算から、当初予定していたガス化炉の熱効率の最大値の試算だけでなく、必要なガス化炉の大きさまで試算することができたため。 ・CFDを用いて、ダウナーおよび気固分離器の更なる性能の向上の可能性があることを計算で明らかにすることができたため。 ・2017年の研究開始後2年間で、論文が3報出版+3報投稿(この6報の内、国際共著論文は3報)されているため。
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今後の研究の推進方策 |
・安価な触媒を用いてダウナーでの熱分解直後のガス化の反応性を加速する。 ・伝熱速度や反応速度を考慮したダウナー熱分解炉反応器モデルを作成する。 ・大量に熱媒体粒子が循環している系で気固分離を行い、粒子の分離効率を実験とシミュレーションの両方から明らかにする。結果に基づいて最適な気固分離器の構造を決定する。 ・本研究で開発した数値解析モデルの妥当性検証をさらに進めるため、現在よりも検証条件の範囲を広げて数値解析および実験を行う。 ・ダウナーでの粒子濃度と伝熱速度の向上の可能性をシミュレーションで追及する。
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備考 |
Fuel Processing Technology誌、Chemical Engineering Science誌、Powder Technology誌(いずれも Q1 Journal in Chemical Engineering)に論文投稿中。
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