研究実績の概要 |
光反応による化学発泡法の実現可能性ならびに気泡径の制御因子が明確になったことを踏まえて、気泡位置の制御した透明発泡体の創製を試みた。分子量がPMMA部で41,000、PtBA部で18,000の非対称ジボロック共重合体でPDI=1.2のポリ(メチルメタクリレート-ブロック-tert-ブチルアクリレート)(PMMA-b-PtBA)を使用した。Photoacid Generator (PAG)は、先と同様に、最大吸収波長が238 nmのヨードニウム塩系化合物(BBI109、 みどり化学)を用いた。、まず、PMMA-b-PtBAを2wt.%、 PAGの添加量は0.1 wt.%としたクロロフォルムを溶媒とした高分子溶液を作製した。 この溶液をガラス基板にキャストして、自然乾燥させることによってシリンダー形状のドメイン間隔が33nmの自己組織化構造(ミクロ相分離構造)を形成させた。その後、24時間真空乾燥し、溶媒除去し、150μmの厚みの透明な高分子薄膜を作製した。このブロックポリマーはPtBAが体積比で31%であり、自己組織化構造としてシリンダー構造を呈する。 その高分子薄膜を波長254 nmのUVランプ(UVGL-58、 UVP)の真下に設置し、約1 mW/cm2の強度でUVを照射した。照射後すぐに70~100 ℃のホットプレート上で加熱し発泡させた。 その結果、孔径が約15nmで規則正しい配列構造のセル構造をもった透明発泡体が得られた。 このように、光反応と高分子のミクロ相分離構造を活かし、秩序性の高い孔構造を持った発泡体を新規な化学発泡法により創製できた。
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