研究課題
従来型の固体触媒では困難であった液相での官能基変換反応に適用可能な高機能固体触媒を開発するために、新しい概念の固体触媒設計のコンセプトの確立を目指してきた。(i)規則性構造を有する有機・無機化合物をマクロリガンドとみなし、錯体形成の概念を適用した触媒を設計する。(ii)触媒活性中心近傍に協奏的に働く固体の規則性を利用した分子認識部位を設計する。(iii)金属活性中心近傍の空間が基質接近過程における分子認識部位として働き高い選択性を発現させる。(iv)その空間によって金属種が安定化されて回収再使用を含む効率的な触媒使用を可能にする。このような設計指針の下、各種の複合系触媒の研究を展開してきた。特にルテニウムなどの貴金属酸化物ナノ粒子を中心とした活性種近傍を精密設計し、担体として界面における相互作用を期待できる金属リン酸塩とを組み合わせた触媒を調製し、炭素-炭素結合形成反応への活性や選択性を検討した。また同時に、各種の分光化学的なスペクトル解析から触媒の活性化状態を検討し、よりパーフォーマンスの高い触媒を開発するべく触媒設計に役立てた。従来の金属ナノ粒子と酸化物担体との協奏効果から、新たに金属酸化物ナノ粒子を酸化物担体との協奏効果発現へとマクロリガンド触媒の概念をさらに拡張することができた。これにより、従来の固体触媒では困難であった液相中での分子変換を可能にして、温和な条件で高活性高選択性を示す新規な触媒反応を実現した。これらの触媒やさらに同時並行的に進めている固体酸触媒の研究によって、ファインケミストリーに適用できるよりグリーンな触媒を開発につなげることができた。得られた成果は、各種の学会で多数の報告を行った他、国際的にも有名な雑誌に論文報告を行った。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 7件、 招待講演 3件)
ACS Catalysis
巻: 10 ページ: 4261-4267
https://doi.org/10.1021/acscatal.9b05120
ChemistrySelect
巻: 4 ページ: 11394-11397
DOI: 10.1002/slct.201903117
Green Chemistry
巻: 21 ページ: 4566-4570
DOI: 10.1039/c9gc01981b
ケミカルエンジニアリング
巻: 64 ページ: 9-13