研究課題/領域番号 |
17H03475
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
水口 周 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任准教授 (70512359)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 複合材料 / 亀裂進展抑制 |
研究実績の概要 |
本年度は亀裂停止性能を最大化させる繊維強化型クラックアレスタの構成に関して評価を行った。具体的には交差部0°材と90°材の厚みの異なるDouble Cantilever Beam試験片を作製し亀裂進展試験を実施した。90°材を厚くすることで亀裂進展荷重を向上させることが出来る一方で、0°材の早期破壊を招くことが分かった。有限要素解析により、アレスタ交差部近傍で応力が最大になる位置がアレスタ構成によって変化することを明らかにし、亀裂進展抑制効果に直結するエネルギー吸収特性が最大化される構成として、0°材を厚く90°材を薄くしたアレスタ構成を考案した。前年度までの複合材Tジョイントを対象にした亀裂進展抑制試験において、アレスタで一旦停止した亀裂が不安定進展する挙動が確認されていたが、90°材を薄くしたアレスタを導入した場合には、亀裂停止後に90°材の逐次破壊により安定的に亀裂が進展する様子が確認された。従来のアレスタ構成と比較して、アレスタ導入による重量増加を減少させながら、亀裂停止効果を向上できることを示した。 またアレスタの亀裂停止機能を評価している際に,アレスタが端部から剥離し,アレスタ自体の破壊に至る例が散見された。そこで剥離の起点となる層端部の繊維配向を局所的に曲げるPly Curving Terminationを考案し基礎的な検証を行った。Ply Curving Terminationを導入することで、層端部の応力集中と2次曲げを抑制できることを実験および有限要素解析により確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複合材接着部および複合材Tジョイント部での亀裂進展抑制を実証したほか、基礎的な要素試験結果に基づいて最適なアレスタ構成や新たな剥離抑制機構を考案しており、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
技術成熟度向上を目指し,複合材Tジョイント部の亀裂抑制について検討を行う.特に実用上問題となる製造欠陥による初期亀裂が発生した場合等において、アレスタを用いることで構造としての信頼性を維持できることを実証する.またPly Curving Terminationについては、これまでの基礎的な評価を発展させ、より実用的な構成の試験片での実証や他形態での適用範囲拡大について検討する.
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