研究課題/領域番号 |
17H03477
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
坂本 啓 東京工業大学, 工学院, 准教授 (40516001)
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研究分担者 |
山崎 政彦 日本大学, 理工学部, 助教 (40632302)
中西 洋喜 東京工業大学, 工学院, 准教授 (90361120)
古谷 寛 東京工業大学, 工学院, 准教授 (00190166)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 宇宙工学 / 宇宙構造物 / 膜構造 / 動解析 / 宇宙実証 / 超小型衛星 / CubeSat / 相似則 |
研究実績の概要 |
本研究は,超小型衛星を用いた軌道上実験を実施し,その小型実験の知見から大型の宇宙膜構造物の設計法を導くことを目指すものである.本研究ではそのための3つの課題を抽出しているが,初年度はうち2つの課題に主に取り組み,以下にまとめる成果を得た. 課題(1)として,微小重力・真空環境の軌道上での膜展開・展張データを取得する技術の確立,がある.この課題については,宇宙実証機OrigamiSat-1の環境試験モデルを改修していくことを通して宇宙実証を実現するための課題解決を実行した.具体的には,(1a) ブーム・膜複合構造の展開実験を実施し,その展開の信頼性と,OrigamiSat-1計測系による展開挙動・展張形状の計測の信頼性を確認した.次に(1b)環境試験によりシステム全体の環境に対する信頼性を確認し,さらに通信試験により画像・動画を含むミッションデータのダウンリンク技術を検証した.これらは超小型衛星を用いた展開構造物の軌道上実証という挑戦的な実験の実現につながる成果である. 課題(2)として,小型モデルによる軌道上実験結果から,大型構造の展開挙動・展張形状を予測する技術の開発に取り組んだ.具体的には, (2a) 宇宙実証機OrigamiSat-1に搭載する構造様式であるブーム・膜複合構造の数値解析モデルの精度検証・向上を実施した.(2b) 地上実験データから数値解析の精度を高める手段として,実験データの3次元計測結果を追加する手法を提案した.さらに,(2c) 厳密な相似則の構築は難しいことから,相似則を空間的/時間的に緩和する手法の確立を目指し,動力学の時系列データをモード分解しパラメータ感度を解析する手法を提案・評価した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小型実験の知見から大型の宇宙膜構造物の設計法を実現するために初年度取り組んだ2つの課題について,当初の予定通り,課題(1)については各種試験を通して軌道上実験の準備を進めることができた.課題(2)については,新たな解析手法を提案・評価するとともに,翌年度の地上実験の実験装置を製作することもできた.
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今後の研究の推進方策 |
超小型衛星を用いた軌道上実験を実施し,その小型実験の知見から大型の宇宙膜構造物の設計法を導ために,今後は課題(1)として宇宙実証実験を実際に行い,超小型衛星を運用する.課題(2)として,その軌道上データを解析し,地上実験結果と合わせてより大型の構造を設計するための手法の構築を目指す.さらに課題(3)として,太陽発電衛星を一例にした将来の膜面宇宙構造システム構築の検討を行う.
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