研究課題
本研究では液体燃料を使用するロケットの打ち上げ作業において,作業時間およびコストの面で支配的要因となっている「配管予冷」の問題に対し,配管表面に低熱伝導率の被膜を塗布することで沸騰伝熱を促進する革新的技術により予冷時間の短縮と燃料消費量の大幅な削減を図る。当初計画されていた「極低温流体を用いた予冷の現象の解明」および「さらなる予冷促進手法の提案・検証」について、ほぼ計画どおりに実施することができた。令和元年度は予冷を高効率化するための手法の改善を試みた。新たに低熱伝導率の被膜を縦横数mm間隔で施す方法を提案し、これが予冷促進に極めて有効であることを示した。本手法は平成30年度に行ったナノファイバーによる予冷促進法をさらに改良することで生まれた新しい方法である。今回採用した手法では、銅板露出面と低熱伝導率被膜面を交互に設けることで、気泡発生に必要な高温面と、上方にある液が予冷面表面に流れ込むために必要な低温面を同時に生成することで沸騰伝熱を促進したと考えられる。ナノファイバーを用いた手法では無垢銅板面に対し予冷時間が1/3程度に短縮されたが、低熱伝導率被膜を縦横数mm間隔で施す手法では予冷時間が約1/5程度となった。また研究結果について、上記のナノファイバーによる予冷促進法について国際学術誌にて公表したほか、研究分担者らの液体水素の流動様式に関する研究成果も国際誌にて発表された。令和元年度最後に計画されていたJAXA能代実験場における液体水素予冷実験についてはコロナウイルス蔓延の影響があり翌年度に延期されることとなった。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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