研究課題/領域番号 |
17H03480
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
笠原 次郎 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (60312435)
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研究分担者 |
松尾 亜紀子 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (70276418)
船木 一幸 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (50311171)
松岡 健 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (40710067)
川崎 央 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (20802242)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | デトネーション / 回転デトネーションエンジン / 多孔質壁噴射器 / 自律圧縮 / 熱伝達 |
研究実績の概要 |
酸化剤インジェクタ上流を含む燃焼室の大部分を自発光可視化可能な、外向き噴射式の円盤型燃焼器を用いて、内部の燃焼を詳細に可視化した。酸化剤インレットの寸法変更によりインレット圧力損失を変化させて実験を行った。スリット酸化剤インジェクタ、ホール燃料インジェクタを用いた燃焼実験において、外向き噴射式の円盤型燃焼器において、回転デトネーションが定常伝播することを確認した。自発光可視化により燃焼器内部で回転デトネーション波が伝播速度1700 m/s~2069 m/sで定常伝播することが確認され、いずれもCJ速度の76~90%に相当する。また、モノクロハイスピードカメラによる発光強度分布とカラービデオカメラによる青色の発光領域分布から回転デトネーションが伝播している混合気の充填高さを計測し、いずれも6.5 mm~11 mm、セル幅のおおよそ17-21倍程度であることを確認した。圧力計測からは、回転デトネーションの通過時に酸化剤供給総圧の約2倍に相当する400 kPa程度の圧力上昇が得られることを確認した。酸化剤インレットと燃焼室底部の断面積比が大きく、インレット圧力損失が小さな状況では、回転デトネーションが安定伝播せずに不安定な伝播モードや燃焼振動が生じることを明らかにした。安定伝播はインレット・燃焼室断面積比が0.33以下の領域のみで確認されており、断面積比0.33 ~ 1.0の間に安定限界が存在すると考えられる。RDCにおいて初の圧力ゲインの直接計測を行い、インレット・燃焼室断面積比と圧力ゲインの関係を明らかにした。断面積比が0.14の場合は圧力ゲインは約-30%であり、断面積比の増大に伴って上昇した。これはインレット圧力損失が低下したためであり、断面積比0.33にて-7%程度まで上昇した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
円筒なしの燃焼器においても、詳細な音速加速過程を解明した点と、多孔噴射ポートからの窒素冷却実験に成功したため。また、冷却用の窒素のインジェクションによって推力増大効果があることが発見されたため。
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今後の研究の推進方策 |
(1)自律圧縮爆轟現象の昇圧メカニズムの理解に関しては、さらに広範囲のパラメータで実験を展開するとともに、総圧計測にフォーカスした実験を実施する。 (2)圧力増加の限界値(10~1000)の解明に関しては、多段化・エジェクター付きエンジンの実験を実施し、高い昇圧性能を証明する。 (3)多孔冷却壁面構造のデトネーションエンジンの熱的特性の解明に関しては、内筒なしのデトネーションエンジンにて、冷却構造を実装し、長時間作動を実現し、広範囲のパラメータで実験を展開する。
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