研究課題/領域番号 |
17H03482
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
遠藤 琢磨 広島大学, 工学研究科, 教授 (00211780)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | デトネーション / 燃焼 / 高速流 / 溶射 / 内燃機関 |
研究実績の概要 |
2017年度は、パルスデトネーション溶射装置とパルスデトネーションタービンエンジンのシステム整備を進めつつ、基礎研究を主たる課題として、研究を行った。使用した混合気は、C2H4+3O2+0.44N2、2H2+O2+4.5Ar、C2H2+2.5O2の3種である。C2H4+3O2+0.44N2と2H2+O2+4.5Arは、総括活性化エネルギーが大きな混合気と小さな混合気の代表として選び、C2H2+2.5O2は、過去に行われた他者の実験結果と比較するために選んだ。円錐台状流路拡大部の半開き角は、5、10、20、30、40、60、90度の7種とし、直径40 mmの円筒管の出口に円錐台状発散コーンを取り付けた構造とした。また、デトネーションの伝播を観察するために、円錐台状流路拡大部の中心軸に沿って煤板を挿入した。実験の結果、半開き角が十分に小さいときは「①セル構造が拡大しつつもデトネーションは一度も消失することなく伝播し続け」、半開き角を大きくしていくと「②デトネーションが一度消失するものの流路拡大コーンの側壁上で復活する」ようになり、半開き角をもっと大きくすると「③デトネーションが一度ほとんど消失し、流路拡大コーンの側壁から離れた中心軸近傍で復活する」ように復活の仕方が変化し、さらに半開き角を十分に大きくすると「④デトネーションが消失して復活しない」ようになった。デトネーションが完全に消失するか否かは流路拡大部手前の円筒管の直径dとデトネーションが安定して定常伝播しているときのセル幅λの比(d/λ)が臨界値を超えるかどうかで決まり(臨界値未満だと完全に消失する)、これらの変化は、定性的には過去の結果と同じであったが、混合気の違いによる定量的な違いが存在することが本研究によって明らかとなった。また、伝播の仕方が上記の①②③④と変化していく様子は単純な1次元モデルでうまく説明できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
基礎研究の結果に基づいて出口径を大きくした溶射装置を当初の計画に先行して設計・試作し、ニッケル・クロムを溶射材として溶射実験を実施した。以前の出口径10 mmの装置に比べ、新しく設計・試作した出口径20 mmの装置では、溶射距離(溶射される基材と溶射装置出口との距離)を2倍以上に大きくできることが明らかとなり、さらに溶射皮膜の質(基材への密着力,気孔率)も良くなることがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は、溶射に関しては、高融点セラミックスの溶射を中心に実験を進め、新しく試作した溶射装置の性能をテストするとともに、実用化のための新しい装置の設計・試作も進める。タービンエンジンに関しては、燃焼器後半部分のみを大口径化した新しい燃焼器を設計・試作し、その運転安定性をテストしつつ、自立運転のための装置の詳細設計を進める。 2019年度は、溶射に関しては、実用化第1号機を仕上げ、その後の要開発項目を探る。タービンエンジンに関しては、自動車用ターボチャージャを改造してパルスデトネーションタービンエンジンの自立運転にトライする。
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