研究課題
最終年度では,「超解像望遠BOS法の創生」,「高速・高精度な波面補償」に取り組むことで研究の完成を目指した.「超解像望遠BOS法の創生」では,「波面補償型望遠BOS法の確立」および「衝撃波計測・精度検証」が主たる課題である.波面補償型BOS法の確立のため,試作したMEMS型可変形鏡とシャック・ハルトマン型波面センサ(以下,SH波面センサ)を組み合わせ補償光学系とし,結像光学系としてカセグレン型望遠鏡(有効径203 m,F値10)を連接させた.さらに,光学系を小型化し,野外計測に対応させた.光学系の基本性能を大気位相盤によるじょう乱模擬実験で検証し,フリード数5 cmに相当する大気じょう乱中で波面補償を達成した.また,精度検証用の衝撃波実験手法を確立するため,パルスNd:YAGレーザとアジ化銀ペレット(薬量10 mg)を使い,衝撃波発生の時間制御を高精度で達成した.「高速・高精度な波面補償」の実現には,強い大気じょう乱環境における屈折率構造定数の把握が不可欠で,かつ,報告例がない.本課題では,舗装路面上で発生する強い大気じょう乱の特性を把握した.本研究では,幅30m,全長650mの直線舗装路上における光波伝播特性を,レーザシンチレーション,ビームワインド,および空間分解能の周波数特性を取得した.この結果,舗装路面上の大気構造係数は,夜間の安定大気に比して,100倍以上も大きく,波面補償に際しては,新たな概念の波面センサを適用する必要性が明らかとなった.また,湿度が80%を越える環境では,レーザシンチレーションが飽和し,特異な値が得られることを明らかにした.さらに,空間分解能に対する影響評価では,距離200 m を越えると急速に悪化し,安定大気中と比して,MTFが1/4程度以下を得た.これらの結果は,独自設計の波面センサの要求仕様とすると共に,室内模擬実験での条件設定とした.
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019
すべて 学会発表 (10件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)