研究課題/領域番号 |
17H03485
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
青木 卓哉 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 主任研究開発員 (40358635)
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研究分担者 |
吉田 克己 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (20337710)
小笠原 俊夫 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20344244)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 長繊維強化セラミックス基複合材料 / シリサイド / 溶融含浸 |
研究実績の概要 |
本研究では、1400℃程度の温度域において優れた耐熱性・耐久性を有する実用的な耐熱材料として、チタンシリサイド(TiSi2) 等の高融点シリサイドをマトリッ クスとするSiC繊維強化シリサイド基複合材料を溶融含浸法により製造する技術創出を目的としている。 既存の代表的製造法であるSi溶融含浸法やCVI法で得られるSiC繊維強化SiC 基複合材料と比較して、耐熱温度の向上、製造コストと気孔率の大幅低減 、耐酸化性 の飛躍的な向上を同時に実現することが目標である。 本年度は、SiCとの反応性が乏しい高融点シリサイドを、SiC繊維強化複合材料のモデル材料である多孔質SiCに対して溶融含浸を実施し、溶融含浸性を評価するともに、1500℃までの高温力学特性を不活性雰囲気中の曲げ試験により評価した。主として溶融含浸した高融点シリサイドはSi-Cr-V系である。これは、Si-Cr-V系シリサイドはが熱力学計算シミュレーションの結果、溶融開始温度が1500℃以上と見込まれ、かつSiCとの反応性が乏しいことが予測されたためである。 小型試験片の試作実験の結果、Si-Cr-V系シリサイドは基材SiCと若干反応したものの、多孔質SiC基材への含浸性は良好で、開気孔率が5%以下の緻密な材料を得ることができた。さらには、試作したSi-Cr-V系シリサイドマトリックス材料について、不活性雰囲気中、1500℃での曲げ試験を実施し、同材料が溶融することなく、剛性と強度を示すことも確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Si-Cr-V系シリサイドは、SiC繊維強化複合材料を模擬した多孔質SiC基材に対する溶融含浸性が良好であることを確認することができた。また、Si-Cr-V系シリサイドをマトリックスとする試作材料は1500℃での高温曲げ試験の結果、従来のSi溶融含浸で得られる材料と比較して耐熱 温度が100℃程度向上することが確認できた。以上のことから、緻密で高耐熱なシリサイドマトリックスを有するSiC繊維強化複合材料を短工期で創成できる可能性があることを示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、Si-Cr-V系シリサイドをマトリックスとする材料の高温での破壊靭性を取得し、高融点シリサイドマトリックスが高い破壊靭性を示すことを検証する。また、試作材料 の組織、力学特性、耐酸化性の評価を進め、材料特性の改善に資する知見を得る。具体的には、1500℃級の耐熱性を有するマトリックスを溶融含浸法により形成する技術の獲得を目指す。最終年度であることから、Si-Cr-V系シリサイドをマトリックスとするSiC繊維強化複合材料を作成し、同材料の1500℃までの高温曲げ試験により力学特性を評価する予定である。
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