研究課題
(1)軽ガス銃・ガスドライバの改修による模型射出速度の向上:申請者らの所属する JAXA 調布航空宇宙センタが所有する二段式軽ガス銃を改修して,火星着陸機の極超音速飛行を模擬した試験環境を実現する試験技術を実現した.軽ガス銃は,もともと他機関において高速衝突実験に利用されていた火薬式系ガス銃を無償で譲り受けたものであるが,JAXA における使用環境の制約から火薬が利用できないため,火薬室をガスドライバ(高圧空気タンクと高速弁から構成される)へ置換し,高圧空気を利用して模型を加速する方法へと変更した.高圧ガス保安協会の設計承認に予想以上の時間を要したため,計画変更を行い,H29 年度資金を一部繰り越すことによって,H30 年 9 月までに本作業を完了した.これにより設備の能力上は,火星着陸機において想定される飛行環境(速度4~5 km/s)と等価の模型飛行環境を実現することとなった.試験運用以降の作業は H30 年度の計画とした.(2)模型自由飛行観測のための観測部の製作;(1)の作業が遅延し,全体の計画変更が必要となったため,本来は H30 に計画していた自由飛行観測のための観測部の制作を前倒しで着手し,装置の基本設計,詳細設計を経て,部品発注と納品までを完了させた.なお,組み立て以降の作業は当初計画通り H30 年度の作業とした.(3)模型自由飛行観測システムの開発:模型の自由飛行軌道に沿った位置,速度,姿勢を決定するための観測システムの開発を行った.(2)の試験部の観測窓に設置する 1 ms 程度のシャッター機能を有するメガピクセルカメラを調達し,模型の姿勢を正確に決定するために 100 ns 以下の発光時間で 30 kHz の頻度で発行可能な光源を借り受け,シュリーレン光学系を設計・制作して,観測システムの原型を開発し,予備的観測を行い,設計の妥当性を確認した.
3: やや遅れている
当初計画では,平成30年3月までに,本研究で設計した実験装置の開発を完了する予定であったが,高圧ガス保安協会の設計承認が4か月遅延し,開発完了が困難となった.そこで平成29年度は装置の材料検査までとし,装置の製造を平成30年度に先送りする計画変更を行い,資金を一部繰り越して対応することとした.全体としての計画遅延を回避するため,H30年度からの着手として計画していた,自由飛行観測部の設計・製造を前倒しし,また光学観測システムの作業のうちH30年度に予定されていたものについても一部前倒すことによって,全体としては平成30年度9月にスケジュール遅延がなくなるように計画の変更を行った.これにより,平成30年度末においては,当初計画通り,実験装置の開発完了と試験運用の開始,試験部および観測システムの開発完了と予備観測運用,運動解析ソフトウエアの開発が完了し,平成31年度以降に本格運用に着手できると考えている.
遅延している実験装置の開発を,繰り越し資金を用いて平成30年9月までに完了させ,また前倒しで行っている自由飛翔試験部および観測システムの開発を同時期までに完了させ,当初の計画通り,平成30年9月までに,運動解析ソフトウエアを除くすべての試験用ハードウエアの制作が完了するように,作業状況を監視しながら必要に応じた是正を行い,注意深く開発を進める.運動解析ソフトウエアについては,当初計画通りH30年度当初から開発に着手し,年度内に完了させる.これにより,平成30年度末においては,当初計画通り,実験装置の開発完了と試験運用の開始,試験部および観測システムの開発完了と予備観測運用,運動解析ソフトウエアの開発が完了し,平成31年度以降に本格運用に着手できると考えている.
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (34件) (うち国際学会 10件、 招待講演 1件)
Journal of Thermophysics and Heat Transfer
巻: 32 ページ: 184~195
10.2514/1.T5134
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TRANSACTIONS OF THE JAPAN SOCIETY FOR AERONAUTICAL AND SPACE SCIENCES, AEROSPACE TECHNOLOGY JAPAN
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