研究課題
本研究においては,まず火星へ大気突入する探査プローブの飛行環境と等価の試験環境を実現するために,流れ場の無次元数を実飛行環境と実験環境で一致する条件を選定し,これに基づいて軽ガス銃の運用条件と試験部の詳細設計を確定し,地上において火星大気突入と等価の試験環境を実現することに成功した.衝撃波管や衝撃風洞を用いた類似の研究は世界にもいくつか存在するが,軽ガス銃を用いて火星大気突入等価環境を地上に再現した研究は世界で初めてとなる.この開発においては,軽ガス銃によって模型を4.2 km/sの速度で射出するために軽ガス銃ガスドライバの改修を行った.次に,当該試験環境を利用して直径15.4 mmのカプセル模型を全長2.7 mの試験部に自由飛行させ,その運動を4つの窓から観測し,その運動を特定し,観測された運動を生じるための実在気体空力係数を逆問題として算出することによって,火星大気突入等価環境においてカプセルの実在気体空力係数を直接計測することに世界で初めて成功した.この研究開発においては,限られた資金の中で 4.2 km/sで飛行する模型の位置と姿勢の履歴を観測するために,安価なメガピクセルカメラを4台用い,これらの絞りを最大限に絞った状態で模型が自由飛行する間シャッターを開放し,40 nsの発光時間/30 kHzの発光間隔を有するフラッシュ光源をもちいてそれぞれのカメラに複数の模型イメージを多重露光させることによって,シャドーグラフ・イメージを4台のカメラに各2~3イメージ,合計10イメージを取得する可視化システムと,画像処理によってカプセルの運動を特定する手法,さらに当該運動をもたらす実在気体空力係数を逆問題として推定する手法を開発した.この成果は,火星大気突入システムの空力設計の妥当性を,フライト前に地上において検証する手法の原理を実証したという点において,画期的である.
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Journal of Thermophysics and Heat Transfer
巻: TBD ページ: TBD