研究課題/領域番号 |
17H03489
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
堤 成一郎 大阪大学, 接合科学研究所, 准教授 (70344702)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 疲労 / 塑性 / き裂 / 溶接 / 熱影響 / 結晶 / マクロ / メゾ |
研究実績の概要 |
本研究では、「繰返し弾塑性理論」および「変態を考慮した結晶塑性解析」を連成させることにより、疲労き裂の発生から伝播までの一連のメカニズムを解明し、溶接熱影響部を含む溶接構造体の疲労き裂発生から伝播までの寿命を定量的に評価可能なシステムの確立を目指している。当該年度は、巨視的弾性条件下において生じる繰返し軟化および低サイクル時の繰返し硬化を含む繰返し載荷時の変形挙動を再現可能な「繰返し弾塑性構成式」の精緻化、ならびに結晶すべりに加えてオーステナイト相からマルテンサイト相への加工誘起変態挙動の再現を目的とした「結晶塑性モデル」の汎用性拡大を行い、非線形変形挙動のシミュレーションツールとして完成させた。特にマクロな検討では、応力三軸度やLode角と言った応力状態の違いが変形挙動や低サイクル疲労寿命に与える影響に関して実験的に明らかにするとともに、その変形挙動を予測可能な弾塑性モデルも完成させ、実験結果との比較により、その予測精度の高さを示した。また非比例負荷時の変形挙動の再現に重要だと考えられる塑性流動則における接線塑性影響に関してもシミュレーション技術を確立するとともに、具体的行動体における接線塑性の寄与を明らかにした。 また、これらを用いた具体的境界値問題の解析により、疲労き裂発生に至るまでに応力状態に依存して生じる局所的な変形挙動を明らかにし、溶接熱影響部を含む構造体の疲労き裂発生寿命を定量的に評価可能なシステムのプロトタイプを完成させた。また、疲労き裂発生寿命の予測を目的とした規準として、局所ひずみの累積に注目した検討を行い、その精度の高さを示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
困難が予定されていたデータ取得およびそのモデル化が順調に推移したため。
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今後の研究の推進方策 |
今後、疲労き裂発生寿命と疲労き裂伝播速度の相関を明らかにするとともに、メゾ・マクロ繰返し塑性を連成させた疲労寿命予測システムへと拡張を進める。 また、過大荷重を含む各種変動応力振幅下において実験を行なうとともにDIC画像解析システムを用いて基礎データを取得する。これらの照査から得られた知見をもとに、開発システムの修正・機能向上を行う。
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