研究課題/領域番号 |
17H03509
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
斉藤 輝雄 福井大学, 遠赤外領域開発研究センター, 教授 (80143163)
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研究分担者 |
立松 芳典 福井大学, 遠赤外領域開発研究センター, 准教授 (50261756)
久保 伸 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (80170025)
田中 謙治 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (50260047)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | プラズマ計測 / 協同トムソン散乱 / サブテラヘルツ帯ジャイロトロン |
研究実績の概要 |
平成30年度早期にジャイロトロンを核融合研に移設する前に、本年度は以下のことを進めた。まず、散乱信号のSN比向上のための長パルス化では、現有電源を用いてパルス幅 100マイクロ秒まで延伸することに成功した。また、二重真空を用いて、共振器部の磁場強度の調整により動作モードであるTE22,2モードの他に、低周波数側でTE21,2モード、高周波数側でTE23,2モードの発振を確認した。さらに、発振パルスの立ち上がり、定常時、立ち上がりの全期間において、TE22,2モード純単一モード発振を確認した。この結果をモード競合計算で解析し、電子加速電圧の極めて速いが有限の立ち上がり時間の重要性を見いだした。これらの結果をサブテラヘルツ帯高出力ジャイロトロンの設計・動作特性の知見として国内学会の他、世界から研究者が集まる赤外とミリ波の国際会議等で報告した。その後さらに、二重窓の効果や周波数スペクトルを詳細に解析するためのデータを蓄積した。 ジャイロトロンは核融合研の加熱機器室に設置するため、LHD 本体までの長距離伝送には既設の3.5 インチコルゲート導波管系を用いる予定である。この既設導波管は300 GHz 帯に対して最適化されていないため、試験用導波管等を用いてジャイロトロン出力の伝送試験を行った。この結果、既設の3.5 インチコルゲート導波管系を用いて長距離伝送可能であることを確認した。また、別途進めてきた1.25インチコルゲート導波管による伝送試験の結果も解析し、入力ビームの非軸対称性に起因する髙次モード発生量を評価した。これらの結果を、国内のプラズマ研究者が一堂に会したPlasma 2017において報告した。 以上により、平成30年度早期にジャイロトロンを核融合研に移設する準備を完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の目標であった、パルス幅を100マイクロ秒まで延伸すること、二重窓効果や周波数スペクトルデータの蓄積、ジャイロトロン出力の長距離伝送のための予備試験等を順調に完了し、平成30年度の計画実施の準備を完了することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は早期にジャイロトロンを核融合研に移設し、LHDの20サイクル実験期間中のCTS実験実施を目指す。そのために、加熱制御室の所定場所にジャイロトロンを設置、必要な配管・配線を行い、発振特性を再確認する。これは、斉藤及び福井大学工学研究科の大学院生が、核融合研職員の協力を得て行う。また、ジャイロトロン出力を既設3.5インチコルゲート導波管系に入射するためのミラー伝送系、導波管真空窓を製作する。これらは概ね平成30年6月までに修了し、7月~8月に加熱機器室に設置するジャイロトロンからLHD 本体までの長距離伝送試験を行う。これは、斉藤、久保、田中、下妻(連携研究者)が協力して進める。 300 GHz CTS実験は、77 GHz, 154 GHz CTS と総合することによりその意義が一層高まる。そのために、高速計算機を導入して散乱スペクトルの解析を総合的に行えるようにデータ解析系を整備する。これは、主として田中と西浦(連携研究者)が担当する。 以上の準備を経て、LHDの20サイクル実験期間中のCTS実験を行う。初期実験のデータを解析して、次に進むための課題を分析する。さらに、次の実験に向けて10 ms 毎の高時間分解計測の準備を進める。このため、ジャイロトロン発振の繰り返し率を100 Hz 以上に上げた試験運転を行い、発振の安定性を調べておく。
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