研究課題
九州大学のQUEST装置において、電子バーンシュタイン波動を検出するために、サブテラヘルツ(400GHz)帯ジャイロトロンを光源とする散乱計測を進めている。このために、令和元年度、福井大学で開発された400GHzジャイロトロンを試験運転し、移設を完了した。今後、散乱計測を実現するためには、ジャイロトロンからの出力から伝送モードへのモード変換器、伝送ミラー、入射、受信ミラー、QUESTのセンターポストに設置する予定のグレーティングミラーの開発が必要である。令和2年度までに、グレーティングミラーの設計手法を開発し、センターポストに設置する具体的なグレーティング付保護板の設計を行った。引き続き、製作したグレーティングの性能評価を行うとともに、本設計手法を応用した、モード変換器等の伝送素子への応用も視野にいれた新たな伝送素子の開発にも着手した。また、実際の製作にあたっては、100ミクロン以下の金属板の微細構造作成が不可欠となり、その製作法の検討として多層エッチング薄板の圧接を検討しており、有望であることを確認した。試作品の作成と性能試験を実施する。また、このグレーティングミラー設計法に関する成果は、グレーティング表面構造を含めた電磁波散乱解析コードによる確認と適用範囲の明確化を行って論文にまとめる予定であり、現在そのためのコード開発とベンチマークを進めている。QUEST装置の電子バーンシュタイン波動の励起の検討においては、これまでの幾何光学近似で行われていた計算では実際に励起される電子バーンシュタイン波動の伝搬予測までは可能であるが、電力密度(その広がり)までの検討は不可能である。それを可能とする拡張幾何光学計算コードPARADE(本研究課題の成果の一部として完成)またはそれを元に新たに開発した準光学ビーム解析コード適用を検討している。
3: やや遅れている
散乱計測の源であるサブテラヘルツジャイロトロンの動作確認までは予定どおり進行したが、九州大学への移設および立ち上げが本研究課題以外の用務により大幅に遅れ、令和2年2月にようやく移設そのものは完了したが、新型コロナウィルスの拡大防止措置により、ジャイロトロンの立ち上げ調整が、令和3年度になっても実行できなかった。そのため令和3年度中も、九州大学でのサブテラヘルツジャイロトロンの運転を未だ実行するに至っていない。その他の受信器の整備、準光学素子の開発はほぼ予定通り進んでいる。
サブテラヘルツジャイロトロンの運転をし、大電力サブテラヘルツ波を用いて行う予定であった、グレーティングを含む準光学素子の開発は、すでに整備を進めている高感度受信機と高温熱源で行うことがある程度は可能であると考えられる。したがって、サブテラヘルツジャイロトロンの運転が開始されるまでに、可能な限り、準光学素子の開発を完了し、ジャイロトロン運転が可能となった段階でできる限り速やかに散乱計測システムの完成を目指すことで準備を進める。
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