研究課題
タングステンおよびステンレス鋼に対して、量研機構高崎研究所1号加速器および京都大学複合原子力研究所ライナック加速器を利用して電子線照射を行った。また、タングステンについて、ベルギー原子力研究所(SCK/CEN)のBR2を利用した中性子照射を行った。陽電子消滅実験によって照射欠陥を観察した。電子線照射試料では、単空孔程度の欠陥が導入されたことが分かった。中性子照射試料では、空孔10個程度からなる空孔集合体が観察された。中性子照射材では透過電子顕微鏡でも観察可能な空孔クラスターが存在すると考えられるので、最新の球面収差補正付き透過電子顕微鏡を用いてその同定を試みた。その結果を陽電子消滅法の結果と比較し、空孔型欠陥の寸法や数密度をより精度良く評価した。試料中の水素-空孔型欠陥の観察を昇温脱離分析および陽電子消滅法を用いて行った。昇温脱離分析から、中性子照射された試料では、水素滞留が顕著に増加することが分かった。陽電子消滅から、照射されたタングステン中の照射欠陥への重水素捕獲を観察した。また、研究分担者である大澤博士により、水素-空孔の安定構造を第一原理計算で評価した。1原子空孔および2原子空孔の場合について、水素の安定位置を明らかにすることができた。水素結合エネルギーの検討も行った。以上で得られた結果を、捕獲サイトが多く存在する場合の水素拡散モデルであるOriani の式に適用し、タングステンやステンレス鋼における水素の拡散や集積を評価した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)
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