研究課題/領域番号 |
17H03526
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
小野田 忍 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主幹研究員(定常) (30414569)
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研究分担者 |
加田 渉 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (60589117)
川原田 洋 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90161380)
蔭浦 泰資 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (20801202)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ダイヤモンド / NVセンター / カロリーメータ |
研究実績の概要 |
ダイヤモンド中のNV(Nitrogen-Vacancy)センターが持つ電子スピンの磁場・温度依存性をX線検出器の一種であるカロリーメータに応用するための研究を進めた。ダイヤモンドは、カロリーメータの設計上に優位な物性が他材料に比べて特異的に優れている。そのため、数Kで動作するカロリーメータが実現可能であると期待している。さらに、硼素添加ダイヤモンドは、その動作温度域が数Kであるため、ダイヤモンド遷移端温度計(TES)として利用できると考えている。本研究では、NVセンターの電子スピンを利用した「電子スピン型カロリーメータ」を目指している。平成29年度は、以下の項目を実施した。
(1)電子線照射によるNVセンター形成に取り組んだ。出発材料として約200μm径の窒素含有ダイヤモンド粒子に2MeVの電子線を1E18cm2の照射量で照射し、1000℃の熱処理で高濃度NVセンターを形成する技術を確立した。並行して、イオン照射によるNVセンター形成にも着手し、窒素含有のないダイヤモンドに窒素イオンを照射し、量子重ね合わせ状態を実現できるNVセンター群を形成することを試みた。 (2)硼素添加ダイヤモンド結晶成長・加工を進め、NIMS微細加工プラットフォーム等を活用し、ダイヤモンドTESの作製プロセスを検討した。低温下での温度特性を取得できた。 (3)共焦点レーザー走査型蛍光顕微鏡を数Kの低温で測定するために、真空チェンバー設計・製作や光学系の再構築を行った。その結果、5Kにおいて共焦点顕微鏡像を取得することができるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
電子線照射によりNVセンターを形成する技術を確立できた。さらに、低温で共焦点顕微鏡を観察するシステムを開発することに成功した。以上の様に計画通りに研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
硼素添加ダイヤモンドを用いて作成したダイヤモンド遷移端温度計(TES)の温度依存性を取得し、その性能を評価する。これにはH29年度に設計・製作した低温チェンバーに信号導入端子などを追加することで実現させる。低温下においてダイヤモンドNVセンターの温度特性を測定する。これには、マイクロ波や磁石を真空チェンバーに設置できるように改造を行う。得られた特性を元に、X線もしくはα線をNVセンターにて検出する方策を検討する。
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