研究課題/領域番号 |
17H03527
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研究機関 | 公益財団法人日本分析センター |
研究代表者 |
太田 智子 公益財団法人日本分析センター, その他部局等, 研究員(移行) (60601797)
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研究分担者 |
松崎 浩之 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (60313194)
児玉 浩子 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 教授 (00093386)
寺田 宙 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (10260267)
野村 恭子 秋田大学, 医学部, 教授 (40365987)
太田 裕二 公益財団法人日本分析センター, その他部局等, 次長 (00544371)
王 暁水 公益財団法人日本分析センター, その他部局等, 研究員(移行) (10544273)
飯田 素代 公益財団法人日本分析センター, その他部局等, 技術員 (10807499)
日比野 有希 公益財団法人日本分析センター, その他部局等, 研究員(移行) (10796577)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 母乳 / 乳児 / 内部被ばく線量 / 放射性ヨウ素 |
研究実績の概要 |
【研究の目的】 東京電力福島第一原子力発電所事故の発生から、7年余が経過した。今、研究者に求められていることは何か。事故直後、国民の間に飲料水の摂取制限による放射性ヨウ素への不安や恐怖が広がった。放射性ヨウ素については甲状腺がんとの因果関係が心配され、特に乳幼児への影響は懸念されている。本研究では放射性物質への感受性が高い乳幼児について、乳児の主たる栄養源である母乳中ヨウ素129を測定し、母乳摂取による乳児の内部被ばく線量評価を行うことを目的とする。長半減期核種のヨウ素129は放射性ヨウ素のトレーサーとして重要であるが、母乳中ヨウ素129を分析した例は過去にはない。さらに、ヨウ素129の分析工程の中で測定する、栄養学的に重要な安定ヨウ素(ヨウ素127)についてもより精度の高いデータの蓄積を目指す。 【研究実績】 本研究は3段階に分けて遂行する。第1段階は「母乳中の放射性ヨウ素、安定ヨウ素分析法の確立」、第2段階は「検体入手と母乳中の放射性ヨウ素、安定ヨウ素の分析データの蓄積」第3段階は「結果の評価」として進める。平成29年度は母乳中の放射性ヨウ素、安定ヨウ素の分析法の確立及び検体の入手経路の確立を行った。分析法の確立では、より精確な分析を目指し母乳の前処理方法について検討した。研究当初は母乳を高分子吸収材に吸収させて分析を行う方法を確立させたが、母乳を凍結乾燥させる方法についても検討した。人乳の標準試料(NIST:SRM1953)を用いて凍結乾燥法を行った。さらに試験所間比較を行い、分析方法の妥当性について評価をする予定である。 検体の採取については、新たに検体を採取することとした。平成29年度にも検体の採取を行ったが引き続き採取をする予定。検体の採取と同時に食事調査も実施した。結果の解析を行う際に食事からのヨウ素摂取量と母乳中ヨウ素との関連性について考察する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヨウ素129の分析方法について、より精確なデータを得るために研究当初に考えていた方法(母乳を高分子吸収剤に吸収させる方法)の他に、他の方法(母乳を凍結乾燥する方法)についても検討したため、分析法の確立に当初の予定より長い期間を要した。また、母乳検体について、当初は他の研究で採取し保管していた検体も使用する予定であったが、同一様式での食事調査が必要と考え、すべての検体を新たに採取することとした。さらに、ヨウ素摂取量と放射性ヨウ素の関連をより詳細に考察するために母乳と尿を採取することとした。検体採取の協力機関を得るために多少時間を要したため研究の進捗はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は検体の採取を行いながら、放射性ヨウ素の分析に取り組む。検体の採取状況に応じて分析を進める予定である。母乳中のヨウ素129とヨウ素127の分析の他に尿中のヨウ素127の分析も実施する。尿中のヨウ素127のデータは食事との関連性を考察する際のデータとして活用する。分析結果の妥当性評価のために、試験所間比較(東京大学、日本分析センター)、標準試料(NIST:SRM1953)の並行分析を実施する予定である。
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