研究課題/領域番号 |
17H03543
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
喜多村 和郎 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60423159)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 運動学習 / 登上線維 / 苔状線維 / 2光子イメージング |
研究実績の概要 |
本研究では、運動制御・運動学習における小脳皮質の機能単位(機能モジュール)の役割を解明するため、各小脳機能モジュールへの入力である登上線維と苔状線維が伝える情報を運動課題実行中のマウスで可視化して明らかにすることを目的としている。 まず小脳苔状線維に蛍光カルシウムセンサータンパク質のGCaMPを発現するマウスにおいて、GCaMPが苔状線維特異的に発現していること、これらの苔状線維に橋核や楔状束核由来の線維が含まれていることを組織学的に確認した。次にこのマウスにレバー引き運動課題を学習させその際の小脳活動をマクロ蛍光顕微鏡で観察したところ、運動に同期した活動を小脳背側部の様々な部位で同定した。これらの実験で同定した部位を2光子顕微鏡で観察し、運動に関わると思われる苔状線維終末の活動を単一終末レベルで同定した。 登上線維入力については、これまでに行ってきたプルキンエ細胞のカルシウムイメージングによる複雑スパイクの検出によって観察を行う。小脳皮質にGCaMPを発現するためのウィルスを注入してプルキンエ細胞に発現させることによって慢性イメージングを行った。レバー引き運動課題実行中のマウス小脳皮質において、レバー引きに関連した複雑スパイク活動を解析した。レバー引きの開始時に同期した活動を示す細胞や、レバー保持中に活動が増加または減少する細胞が観察され、登上線維シグナルがレバーの軌跡に関する情報を符号化していることが示唆された。 運動課題の学習における、苔状線維および登上線維のシグナルの役割を明らかにする目的で、薬理遺伝学的な手法を用いる。今年度は、苔状線維および登上線維選択的にDREADD受容体を発現させるためのウィルスベクター作製および注入についての検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
運動課題実行中の苔状線維および登上線維活動の観察については、当初の計画通り順調に実験が進展している。薬理遺伝学的な活動操作については現在のところ検討段階であるが、活動イメージング実験の進展状況に応じて実験を開始する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
苔状線維および登上線維シグナルの運動関連情報のコーディングを明らかにするために今後も引き続き実験を継続する。また、小脳モジュールを可視化できるマウスを組み合わせて用いることで、本研究の最終目標である小脳モジュールごとの機能を明らかにする。
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