研究課題
PSPとCBDはアストロサイト胞体内に4-リピートリン酸化タウ蓄積による封入体を認める疾患であり、PSPはtufted astrocyte、CBDはastrocytic plaqueの出現を特徴とし、前者では主に皮質に分布するのに対し、後者では皮質から白質まで広汎に認められる。我々は、4-リピートリン酸化タウの蓄積を認めるアストロサイトの特性を解析した。運動野を含む大脳のフォルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織を用い、抗リン酸化タウ 抗体(clone AT8 , Innogenetics)を用いて免疫染色を行い、特徴的な封入体を持つアストロサイトの出現を観察した。その結果、PSP/CBDとは異なる特殊な形態を持つタウオパチー(Globular glial tauopathy: GGT)の6例(Type I, 0; Type II, 3; Type III, 3)を同定し、大脳運動野を中心にその病理像の詳細を検討した。アストロサイトの封入体の出現量はType IIに比べType IIIで顕著に多かった。封入体の形状は、 Type IIでは小型で多数の小球状構造からなり、突起遠位にまで広がっていた。Type IIIは大型で少数の小球状構造が胞体近位部に形成され、直径もType IIより小さかった。このことから、両者間でその形成過程が異なっていることが示された。神経細胞内封入体は、大脳運動野及び脊髄前角における出現が特徴的であり、3つの形態:diffuse granular、thick cord-like及びround/horseshoe-shapedが確認された。Round/horseshoe-shaped封入対はType IIIにおいてのみ観察された。これらの所見から、GGT Type II及びIIIの間で、異常リン酸化タウの形成過程/機序が異なることが示唆された。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
Neuropathol Appl Neurobiol
巻: 46 ページ: 344-358
10.1111/nan.1258
Ann Neurol
巻: 87 ページ: 302-312
10.1002/ana.25652
老年精神医学雑誌
巻: 30 ページ: 1080-1088