研究課題
申請者は、脊髄損傷を改善しうる生薬の研究を進めてきた中で、骨格筋萎縮を改善しかつ軸索伸展も促すニクジュヨウエキスの活性とその活性成分acteosideの知見を得ている。その成果にもとづき本研究は2つのゴールを設定する。①Acteosideが骨格筋と神経細胞に及ぼす機序を明らかにする。②ニクジュヨウエキスをBotanical Drug(生薬単味エキスを成分とする新効能の医薬品)として開発するため、非臨床試験、臨床試験を進める。令和3年度は、臨床現場での患者の多さと治療薬がない現状を鑑み、ニクジュヨウエキスの治療効果を評価する疾患を頚椎症性脊髄症に絞り、特定臨床研究「頚椎症性脊髄症に対するニクジュヨウエキスの有効性を検討するランダム化二重盲検群間比較試験」を開始した。目標組み入れ数40名だが、令和3年度末において20名の被験者を組み入れた。主要評価項目は、頸椎JOAスコア、JOA Cervical Myelopathy Evaluation Questionnaire、身体診察所見、EQ-5D、Visual Analog Scaleとしている。また、広義の頚椎症である後縦靭帯骨化症 (OPLL)のモデルとしてENPP1ttw/ttw (ttw)マウスを用いた基礎研究を進めた。ttwマウスの運動機能障害の特徴に特化した感度の良い評価法がなかったため、本研究では新たな行動評価法を確立した。その結果、ttwマウスでは週齢依存的に運動障害が進行し、しかも前肢の障害が後肢の障害に先立つことも定量的に示した。ニクジュヨウエキスをマウスに経口投与するとacteosideが中枢神経と骨格筋に移行することを見出した。またacteoside処置によって神経細胞の軸索が伸展すること、そのパスウェイには少なくてもAkt活性化とERK活性化が関与していることも明らかにした。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022 2021 2017
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (22件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 図書 (1件) 産業財産権 (2件) (うち外国 1件)
Frontiers in Pharmacology
巻: 12 ページ: 680652
10.3389/fphar.2021.680652
日本食品化学学会誌
巻: 28 ページ: 63~70
10.18891/jjfcs.28.2_63
Nutrients
巻: 13 ページ: 1672~1672
10.3390/nu13051672
Neurochemical Journal
巻: 15 ページ: 454~461
10.1134/S1819712421040085
Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle
巻: 12 ページ: 2199~2210
10.1002/jcsm.12830
Functional Food(2021) 40号
巻: 15(1) ページ: 10-16