研究課題/領域番号 |
17H03560
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
遠山 育夫 滋賀医科大学, 神経難病研究センター, 教授 (20207533)
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研究分担者 |
赤津 裕康 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (00399734)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 脳神経疾患 / アルツハイマー病 / 核磁気共鳴画像 / ベータアミロイド / タウタンパク / アミロイドオリゴマー / 診断 / 治療 |
研究実績の概要 |
アルツハイマー病の病態は、ベータアミロイドペプチ(Aβ)オリゴマー形成、老人斑の形成、神経原線維変化の形成と進んでいくと考えられている。しかしながら、それぞれの異常蛋白相互の関連については良く解っていない。これらの異常蛋白相互の関連を明らかにするためには、複数の異常蛋白をin vivoで同時に画像化する技術が不可欠である。我々はこれまで、超高磁場MR画像装置を用い、フッ素MR画像法による画像化技術の開発に取り組み、最近、試薬の出す19F-NMR信号のケミカルシフトの違いを利用して、複数の脳内異常蛋白を同時画像化(多重フッ素MR画像法)することに成功した。本研究では、Aβオリゴマー、老人斑、神経原線維変化、の3つの標的に的を絞り、多重フッ素MR画像法を用いて同時解析を行う。アルツハイマー病の遺伝子改変モデルマウスに対して、経時的に多重フッ素MR画像を試み、Aβオリゴマーや老人斑、神経原線維変化がどのように脳内で形成されて伝搬していくか、in vivoで解析する. アルツハイマー病は、本来、この3つの主要病変が相互作用しながら進展しており、ひとつの病変(たとえばアミロイド病理)を標的にした薬であっても、3病変に対して影響を及ぼしていることは、十分に考えられる。したがって、動物を生かしたまま複数の病変を解析できる技術は、治療薬開発にとっても極めて重要と考える。そこで、多重フッ素MR画像法を治療薬開発研究に応用する。とともに、治療薬の効果を検証することも研究計画に加える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度にShiga-X35をタウトランスジェニックマウスの尾静脈から投与し、7テスラMRI装置で測定した結果、MRによるタウイメージングに世界で初めて成功した。試薬の特許を出願(特願2017-046350)した。平成30年度は、これらのデータをさら集め、国際学術誌Journal of Neuroscience Research誌に投稿した結果、2018年12月に掲載された。さらに、βアミロイド凝集体に反応するShiga-Y5がタウ病変にも反応し、治療薬としての効果を示すかタウトランスジェニックマウスとAPPトランスジェニックマウスを用いて検証した。その結果、Shiga-Y5はアミロイド病変に対しては治療効果を示すが、タウ病変については効果を示さず、アミロイド病変に特異性の高い試薬であることが解った。成果の一部は、国際学術PLoS ONEに報告し、掲載された。以上より、おおむね順調に進捗していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに老人斑を特異的に検出する試薬(SHIga-Y5, Shiga-X22)、神経原線維変化を特異的に検出する試薬(SIga-X35)を得ることに成功した。2019年度は、アミロイドオリゴマー特異的な試薬を得ることを最大の目標にする。更に、タウ特異的な試薬に関しても、より感度や特異度の高い試薬の開発に取り組む。
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