研究課題
本研究では、神経回路形成因子LOTUSの生理機能を利用した臨床応用可能な神経再生治療法の確立を目的とし、脊髄損傷モデルと視神経損傷モデルにおいて外来性に投与したLOTUSタンパク質製剤による治療効果を検討すること、およびLOTUSの構造解析を行って生理機能を促進する変異体を作製し、モデル動物に適用してその効能を検証する。H30年度では、(1)脊髄損傷モデル動物における精製LOTUSリコンビナントタンパク質の外来性投与の効果を前年度に引き続き検討した。精製LOTUSリコンビナントタンパク質を患部に外来性投与し、その効果について行動学的、組織学的に複数の検討事項について検証した。損傷後5日目にLOTUSを含有した徐放剤を患部に静置し、経時的に損傷後42日まで運動歩行について解析したところ、損傷後7日目以降21日目までコントロール群に比して顕著に機能改善が見られた。その後42日目まで改善した歩行運動能は維持された。以上の結果から、外来性に投与した精製LOTUSリコンビナントタンパク質は脊髄損傷後の神経再生を惹起し、機能改善に大きく寄与することが判明し、現在論文投稿準備中である。
2: おおむね順調に進展している
当初の平成30年度計画にある(1)「脊髄損傷モデルにおける機能回復評価」においての更なる検証は完了した。2種の行動指標における解析と、組織学的解析および生化学的解析を終え、現在論文投稿準備中である。
平成30-31年度計画にある以下の実験研究を開始する。1)脊髄損傷モデル動物において、精製LOTUSタンパク質投与とは別の方法(遺伝子導入法)の効果について検討する。2)LOTUS の構造生物学的研究を継続する。高純度のモノマー精製LOTUS タンパク質を取得し、連携研究者との共同研究で、X 線および中性子回折・散乱法によってLOTUS の構造解析を行う。上記で明らかになったLOTUS の構造から類推される機能構造体部位の各種変異体を分子生物学的に作製し、機能亢進型または高純度モノマー型のLOTUSの取得を試みる。この変異体LOTUSを用いてNgR1 に対する結合度と拮抗作用について、COS7 細胞におけるNgR1強制発現系、および培養神経細胞系(脊髄後根神経節細胞における成長円錐崩壊と軸索伸長)で検証を行う
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 3件)
eNeuro
巻: - ページ: -
10.1523/ENEURO.0303-18
Neuroscience Letters
巻: 683 ページ: 61-68