研究課題
(1)CAPS2依存性POMC分泌経路と摂食制御との関連: CAPS2 KOマウスは体型が小さく軽体重であることから,摂食やエネルギー代謝のホメオスタシス制御に問題が予想される。そこで中枢系の食欲調節に関連する視床下部弓状核における分泌制御経路に着目した。弓状核には食欲を亢進するAgRPニューロンと,抑制するPOMCニューロンが存在する。今回,食欲抑制作用を持つα-MSHを分泌するPOMCニューロンについて解析した。CAPS2は弓状核のPOMCニューロンに発現し,投射先の一つである室傍核でもタンパク質が局在する。末梢性α-MSHを血中に分泌する脳下垂体中葉においてもCAPS2がPOMCニューロンで高発現していた。一方,KOマウスではPOMC免疫シグナル強度が野生型よりも高いことから,分泌障害が示唆された。さらに,α-MSH受容体MC4Rの活性剤メラノタンⅡを投与すると,野生型では体重あたりの摂食量が減少するが,KOマウスでは大きな変化が見られなかった。これらの結果から,CAPS2はPOMCニューロンにおける食欲関連ペプチドの分泌制御をすると示唆される。(2)CAPS2依存性オキシトシン(OXT)分泌経路と社会行動との関連: CAPS2 KOマウスにおける社会行動の欠損,ヒト自閉スペクトラム症ASDの患者ゲノムにおけるde novoコピー数変異や一塩基変異などから,CAPS2/CADPS2がASDのリスク因子候補と報告されている。ではCAPS2が分泌制御する因子は何か。今回,社会性ペプチドとして注目されているOXTに着目した。KOマウスでは血中OXT量が低下し,逆に脳下垂体後葉での免疫陽性シグナルが高いことから,分泌障害が示唆された。OXTニューロン特異的CAPS2 cKOマウスを開発し,OXTの経鼻投与によってcKOマウスの社会行動の欠損が改善されることを明らかにした。
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