研究課題
本年度は以下の項目について検討を行った。①SCLCの遺伝的背景とフェロトーシス感受性の関連についての検討:遺伝子発現解析から得られたフェロトーシス感受性肺癌細胞に共通する遺伝子リストを比較して解析し、SLC7A1(xCT)やSLC3A2(CD98hc)の発現のほか、新たにMALT1やBIRC3といった遺伝子の発現がSCLCで低下していることがxCT阻害剤に対する感受性と強く相関することを見出した。また、xCTについてもヒト肺癌組織検体を用いて免疫染色を行い、組織マイクロアレイにて発現解析を行った。その結果、NSCLCでは腫瘍組織の70%でxCT陽性であるのに対し、SCLC組織の陽性率は43%であった。このようにヒト肺がん検体においてもSCLCはxCT低発現であることが判明し、xCT阻害治療の有効性が示唆された。②xCT阻害剤耐性SCLCの作製と耐性化に関わる遺伝子発現解析:SBC5細胞のスルファサラジン耐性株SBC5-SSZRを用いてRNA-seq解析を実施し、耐性化によって発現上昇する遺伝子群を同定した。③SCLCに高頻度で見られる遺伝子変化を反映したモデルマウスの作製:SCLCモデルであるRPMマウスより腫瘍オルガノイドを作製し、皮下移植を行い、ゼノグラフトモデルを作製した。作成した腫瘍においてSCLCマーカーであるASCL1, NEUROD, Synaptophysinについて免疫染色を行い、これらが陽性であることを確認した。④xCT阻害剤による治療実験と非臨床POCの取得:上記のゼノグラフトモデルに対してxCT阻害剤スルファサラジンの効果を検討した。その結果、高い抗腫瘍効果が確認できた。このことから、SCLCにおいてxCT阻害によるフェロトーシス誘導治療が有効であるという非臨床POCが得られた。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Cancer Science
巻: 111 ページ: 127-136
doi: 10.1111/cas.14224.
巻: 110 ページ: 3453-3463
doi: 10.1111/cas.14182.