研究課題
1.前年度の研究でアクチビン受容体とTGF-b受容体が協調的に大腸がん形成を抑制していることを実験的に検証したので、本年度はその分子機構を解析した。アクチビン受容体とTGF-b受容体はSmad2をリン酸化し転写制御を行うなど、機能の一部が重複している。そこで、この二つの受容体の腫瘍抑制作用がSmad2 を介しているかを免疫染色により解析した。リン酸化Smad2陽性腫瘍細胞の割合は、TGF-b受容体のみがノックアウトされている場合と比べ、二つの受容体がノックアウトされている場合において優位に低かった。この結果より二つの受容体はSmad2を介して協調的に腫瘍抑制機能を示していることが明らかにされた。次に、アクチビン受容体のリガンドのひとつであるアクチビンの大腸腫瘍上皮細胞への作用に関して解析した。アクチビンをマウス腫瘍上皮オルガノイドの培養液中に添加するとオルガノイドの増殖が阻害され、Smad2のリン酸化は増加した。しかし、アクチビンの受容体を欠損させたオルガノイドにおいて増殖阻害作用は見られなかった。これらの結果より、大腸の腫瘍細胞はアクチビンの増殖抑制作用を回避するためにアクチビン受容体の変異を獲得すると考えられた。以上の結果を論文にまとめ発表した。2.前年度の研究により得た細胞からゲノムを抽出し、ゲノム解析用のライブラリを調整した。次世代シーケンサー解読と情報解析によりSBトランスポゾン挿入部位を同定し、候補遺伝子をいくつか得ることができた。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
消化器病学サイエンス
巻: 4 ページ: 55-58
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻: 116 ページ: 15635-15644
10.1073/pnas.1904714116.
https://www.ncc.go.jp/jp/ri/division/molecular_genetics/index.html