研究課題/領域番号 |
17H03588
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
岩崎 基 国立研究開発法人国立がん研究センター, 社会と健康研究センター, 部長 (60392338)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 分子疫学 / 大腸がん / 日系移民 / 交互作用 |
研究実績の概要 |
大腸がんの発がんメカニズムの理解に対する更なる深化と、予防法開発に資するエビデンスの構築を目的に、日本在住日本人、サンパウロ在住日系人、ハワイ在住日系人の3集団を対象とした大腸腺腫研究および多目的コホート研究におけるアンケート情報および保存血漿検体を用いた大腸がんのデータセットを用いて、①候補遺伝子アプローチによる遺伝環境交互作用の検討、②潜在結果変数を用いた直接効果及び間接効果の推定による血漿バイオマーカーの意義づけの検討、③新規リスク要因として分岐鎖アミノ酸濃度および摂取量と大腸腺腫および大腸がんとの関連の検討している。 ①の研究として、今年度は、サンパウロ在住日系人を対象とした大腸腺腫研究において、赤肉・加工肉およびヘテロサイクリックアミン摂取量とNAT2の多型による交互作用を検討した。その結果、鶏肉摂取と大腸腺腫の間に正の関連が見られたものの、ヘテロサイクリックアミン摂取との間には関連は観察されず、また交互作用も検出されなかった。 ②の研究として、過体重・肥満の大腸がんリスク増加において想定されるメカニズムに関与が想定される血中バイオマーカーを用いて、効果の分解パターンを決定するための関係図を作成し、これらの血中バイオマーカーを中間変数とした潜在結果変数モデルによる解析を実施した。 ③の研究として、今年度は、国立がん研究センターがん検診受診者を対象とした大腸腺腫研究において、食物摂取頻度調査票から推定した分岐鎖アミノ酸(バリン・ロイシン・イソロイシン)の摂取量と大腸腺腫との関連を検討した。予備的な解析においては、分岐鎖アミノ酸摂取量の合計値、および個別のアミノ酸との間に有意な関連は見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①の研究については、サンパウロ在住日系人を対象とした大腸腺腫研究における、赤肉・加工肉およびヘテロサイクリックアミン摂取量とNAT2の多型による交互作用に関する検討結果の論文化が進んでおり、当初の予定を上回る進捗である。 ②の研究については、潜在結果変数モデルによる解析の段階に入り、当初の計画通りに進捗している。 ③の研究についても、国立がん研究センターがん検診受診者を対象とした大腸腺腫研究におけるデータ解析を実施しており、これも当初の計画通りに進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
①の研究については、サンパウロ在住日系人を対象とした大腸腺腫研究を対象に、その他のテーマ(飲酒および葉酸摂取量とアルコール(ALDH2)および葉酸代謝(MTHFR、MTR)に関連する遺伝子多型、ビタミンD濃度とビタミンD受容体遺伝子多型など)に関する解析を開始する。 ②の研究については、潜在結果変数モデルによる解析を完了し、その結果に基づいて論文を作成する。 ③の研究については、国立がん研究センターがん検診受診者を対象とした大腸腺腫研究におけるデータ解析を継続し、成果が得られ次第、論文を作成する。また、多目的コホート研究の5年後調査アンケートに基づく分岐鎖アミノ酸摂取量と大腸がん罹患リスクとの関連の検討を開始する。さらに、多目的コホート研究の5年後調査による大腸がんのコホート内症例対照研究の保存血漿検体を用いた分岐鎖アミノ酸の分析について検討を開始する。
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