研究課題
当該年度においては、研究項目(4)ICG結合型化合物の作用機序の解明に関する研究を中心に遂行した。肝細胞癌(HCC)におけるICGの特異的滞留性にはorganic anion-transporting polypeptide (OATP), Na(+)/taurocholate cotransporting polypeptide(NTCP)、multidrug resistance p-glycoprotein(MDR)といった各種トランスポーターの発現変動が関与すると考えられたが、各種トランスポーターの発現を変動させた細胞を用いた実験ではICGの滞留性への効果は確認できたものの、ICG-ゲムシタビン結合体の滞留性への効果は検出できなたっか。本研究の結果では、新規合成したICG-ゲムシタビン結合体に関してはICGとは異なるトランスポーターの関与が示唆された。ICG-ゲムシタビン結合体は、HCC組織だけでなく正常肝組織にも滞留する性質を有したことから、静脈投与による全身化学療法には適さないことが判明した。ICGとは異なる特異性の出現は、ゲムシタビンを結合させたことによりICGと比較して物性が大きく変化したためと考えられ、その変化を回避したICG化合物を合成する必要があると考えられた。この結果を研究項目(1)ICG結合型化合物の合成にフィードバックし、目的とする性質を有する新規ICG化合物の合成を進めてきた。現在までに、複数種の候補化合物の合成を達成し、順次研究項目(2)ICG結合型化合物の抗癌効果の評価を遂行している。引き続き、HCC細胞に対して殺細胞効果を有し、HCC組織において特異性高く滞留する性質を有するICG化合物の創出を遂行する。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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