研究課題
i. 解析対象とする遺伝子異常の選定:脱分化型脂肪肉腫において遺伝子発現がコピー数依存的に変化している遺伝子群を対象として機能解析を進めた。コピー数依存的に発現の変化しているJUN、DNM3、DNM3OS、TAF9B、DGKQ、STX18に着目し、これらの遺伝子発現について高発現群と低発現群の2群に分け、予後との相関を確認した所、DGKQおよびTAF9Bにおいて、高発現群において有意に予後が悪いことが確認された。ii. 遺伝子異常の細胞レベルでの機能解析:iで選定した遺伝子異常についてin vitroでの機能解析を引き続き行う。遺伝子発現の亢進により予後の悪化を認めたDGKQ、STX18について発現ベクターを作成し、マウス胎児線維芽細胞やヒト線維芽細胞肉腫細胞株HT1080などに強制発現させ、増殖能、浸潤能、遊走能等を評価した。コントロール群と比較し強制発現群では特にこれらの細胞機能の有意な変化を認めなかった。iii. 遺伝子異常のマウスモデルでの機能解析:ヒトIDH1/2遺伝子変異を軟骨特異的に発現する軟骨肉腫モデルマウスより腫瘍組織および正常軟骨組織を採取し、20検体についてRNAシークエンス解析を実施した。対照群と比較して遺伝子変異群では成長板軟骨において軟骨細胞の肥大分化に関わる重要な遺伝子群の発現が変化していた。また、腫瘍組織においては軟骨組織と比較して、AKT/PI3KシグナルやIntegrinシグナルなどの経路が亢進していることが明らかとなった。特にAKT/PI3Kシグナルは転移巣においても亢進が確認され、同シグナル経路が腫瘍の進展に重要な役割を持っている可能性が示唆された。iv. 新規治療標的候補となった遺伝子異常に対するドラッグスクリーニング:iiiで得られたシグナル経路解析の結果に基づいてAKT/PI3Kシグナルを中心とした分子標的薬の選定を行った。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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