研究課題/領域番号 |
17H03599
|
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
加藤 淳二 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20244345)
|
研究分担者 |
早坂 尚貴 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (00792665)
高田 弘一 札幌医科大学, 医学部, 助教 (90398321)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 大腸癌 / 糖代謝特性 |
研究実績の概要 |
進行・再発大腸癌に対して治癒を期待できる治療法は未だ確立されていない.その理由の一つとして大腸癌細胞特異的な治療薬が存在しないことが挙げられる.申請者らは,大腸癌細胞のフコース(単糖類)の要求度が高いことに着目し,フコース結合nanoparticleによる新規治療法を考案した (Kato J, J Natl Cancer Inst 2016).一方,18F-Fluorodeoxyglucose (FDG) -PET検査は,大腸癌の診断に有用であるのみならず,大腸癌細胞のFDGの取り込み率が高い症例では,その予後が不良であることが報告されている.つまり,FDG取り込みが亢進している癌細胞を標的とした治療薬が,大腸癌の治療成績を向上させうる可能性がある.本研究の目的は,FDG取り込みが亢進している大腸癌細胞の細胞特性の解析を行うとともに,FDG修飾抗がん剤による新規大腸癌細胞標的療法を開発することを目的とする. 平成29年度は,まず大腸癌細胞におけるGLUT1およびHK2の機能をsiRNAを用いてそれぞれの遺伝子をknock-down (KO) することにより,細胞増殖能の変化について解析した.いずれの遺伝子のKOにより細胞増殖能は有意に低下した.特に、両遺伝子を同時にKOした際に最も細胞職能が顕著に抑制させた.また,GLUT1およびHK2発現とFDG-FITCの取り込み率および停滞率の関連性をin vitroで検討した.GLUT1の発現はFDG-FITCの取り込み率に,HK2の発現はFDG-FITCの停滞率に関連していた.さらに,FDG修飾抗がん剤(FDG-SN38-FITC)を設計・作製した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は計画通り研究は進捗しており,平成30年度の研究計画に変更なく当該研究を遂行可能と考えている.
|
今後の研究の推進方策 |
平成30年度は,平成29年度の研究結果をふまえ,in vivo においてのFDG-FITCおよびFDG修飾抗がん剤の腫瘍細胞への特異的送達性ならびに抗腫瘍効果を解析する.その際に重要なことは,FDGそのものは分子量が小さく,blood brain barrier (BBB)を通過し,脳組織にも取り込まれると考えられる.そこで,BBBを通過し得ないように分子量を高めるための最適なリンカーを検討し,さらにそのリンカーを付加したFDG修飾薬剤の腫瘍内への送達性が担保されているか否かを明らかにする.
|