本研究では、体軸幹細胞から体幹部の神経系・中胚葉系細胞が産み出されるマウス初期胚(妊娠8~13日目胚)を研究対象としている。昨年度の解析で体軸の発生に 影響が見られた1遺伝子に加え、体軸幹細胞維持および神経板細胞・沿軸中胚葉細胞への分化に関与していると考えられる8つの新規候補遺伝子の解析を進めている。8つの新規候補遺伝子についてもゲノム編集マウスを作成して、その表現型の解析を行なった。 また、体軸幹細胞のうちTbx6遺伝子を発現し、体節中胚葉へと発生する細胞集団において、転写因子Tbx6が作用するゲノム領域をCut & Run法により網羅的に同定した。これらの領域には、中胚葉系で特異的に発現する遺伝子のみならず、神経系への分化で発現する遺伝子も含まれていた。これらの非制御遺伝子軍の解析を行なった。 体軸幹細胞を出発点とする系譜については、将来腎臓へと発生する中間中胚葉が、体軸幹細胞から発生することを見出した。また、中間中胚葉への分化を制御する分子メカニズムについても明らかにした。
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