研究課題/領域番号 |
17H03608
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大川 恭行 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (80448430)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | クロマチン / ヒストンバリアント / エピゲノム解析 |
研究実績の概要 |
細胞分化では、転写因子、ヒストン修飾を始めとする様々なエピゲノム制御により、一群の分化関連遺伝子が選択的に発現する。近年、ヒストンバリアントが特定の組成比でクロマチン構造を形成し、ゲノム上の遺伝子の選択から転写量調節まで幅広く関与していることが明らかとなった。しかし、その成立機序や機能は未だ不明な点が多い。そこで、本研究では骨格筋幹細胞から成熟した筋組織に至る過程の様々な前駆細胞、成熟筋組織に至る過程で、ヒストンバリアントが分化遺伝子の選択から、発現後の転写レベル調節を行う際のゲノム上のクロマチン組成とその機能解明を行うことを目的としている。2018年度においては、骨格筋分化におけるクロマチン組成の寄与を明らかにする手法としてクロマチン標識挿入法を開発した。本成果は、固定した細胞を免疫染色と同様の手技によりイメージングし、更に、抗体が反応した周辺のゲノム配列を人工的にRNAとして転写させることで、核内タンパク質の局在とゲノム上の位置を同定する技術である。活性化クロマチン領域のみならず、ヘテロクロマチン、転写因子等幅広い応用が可能なことを確認しており、更に単一細胞レベルでのプロファイリングを達成している。また、ヒストンバリアントの解析については、全ての新規ヒストンH3バリアントのノックアウトマウスを樹立し、その幾つかで顕著な表現型があることを確認している。これら表現型があったマウスに特化して、生化学的な解析から、ゲノムワイドな分布まで包括的な解析を行った。現在論文投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年は、技術部分については論文発表(Harada A et al, Nat Cell Biol. 2019)を行い、その他の研究についても順調に進捗しているため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き当初の研究計画に従って研究を推進していく。
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