研究課題
細胞分化では、転写因子、ヒストン修飾を始めとする様々なエピゲノム制御により、一群の分化関連遺伝子が選択的に発現する。近年、ヒストンバリアントが特定の組成比でクロマチン構造を形成し、ゲノム上の遺伝子の選択から転写量調節まで幅広く関与していることが明らかとなった。しかし、その成立機序や機能は未だ不明な点が多い。そこで、本研究では骨格筋幹細胞から成熟した筋組織に至る過程の様々な前駆細胞、成熟筋組織に至る過程で、ヒストンバリアントが分化遺伝子の選択から、発現後の転写レベル調節を行う際のゲノム上のクロマチン組成とその機能解明を行った。まず、新規に同定したヒストンH3バリアントH3mm7, H3mm13,H3mm18は骨格筋に特異的に発現しており、その選択は、遺伝子の選択的な転写誘導に加えて転写量調節に関与することが明らかとなった。H3mm7は2018年に論文発表を行った。そこで、H3mm18について全ゲノムレベルで遺伝子発現の選択性を検討したところ、H3mm18の取り込みはH3.3と同様の機序で制御されていることが明らかとなり、遺伝子の選択的な制御はH3.3の取り込みを行うシャペロンおよびシャペロンを輸送する転写因子により行われていることが明らかとなった。一方で、H3mm18の取り込みは一過的であり、クロマチン構造としての寄与より、むしろH3.3シャペロンの取り込みの攪乱を行っている可能性が明らかとなった。H3mm18による多角的な発生、分化、組織形成制御の解明を行った。H3mm18のノックアウトマウスを樹立し解析を進め、H3mm18においては骨格筋再生過程において無秩序な遺伝子発現状態がが一過的に形成された。これらは現在投稿準備中である。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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