研究課題/領域番号 |
17H03616
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
深見 真紀 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 分子内分泌研究部, 部長 (40265872)
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研究分担者 |
倉橋 浩樹 藤田医科大学, 総合医科学研究所, 教授 (30243215)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ゲノム / 遺伝子 |
研究実績の概要 |
研究項目1. ゲノム再構成の新規成立機序の解明:2500例の先天異常症候群患者の全ゲノムコピー数解析を行い、先天奇形を有する男児1例において5つの染色体上のde novo ゲノム再構成を同定した。患者と両親のwhole genome sequencing, haplotype phasing, microsatellite 解析などにより、このゲノム再構成の発症機序について検討した。その結果、本症例では、精子形成の減数分裂に限局して一過性多焦点性ゲノムcrisisが生じたことが明らかとなった。このゲノム変化の一部には、クロモスリプシスが関与していた。出生後のゲノム脆弱性は否定された。本研究によって、ヒト生殖細胞系列における複雑染色体構造異常を招く新たなメカニズムが明らかとなった。 研究項目2. X染色体不活化解析:受精直後の異数性レスキューに起因する片親性ダイソミー患者のX不活化解析を行った。その結果、これらの患者では一般女性に比較して不活化の偏りが顕著であることが見いだされた。統計学的モデル解析によって、異数性レスキューは不活化X染色体決定期の胎児幹細胞数の減少を介して、X不活化の偏りを招くことが明らかとなった。とくに、出生を可能とするモノソミーレスキューが3-4細胞期に限局して生じることが示唆された。 研究項目3. Y染色体構造解析:体細胞性Y染色体モザイク欠失が、胎児期から老年期までの男性の生涯における各段階において生じ、性分化疾患や生殖機能障害を含むさまざまな疾患に関与することを明らかとした。また、この発症にY染色体特異的パリンドローム構造が関係することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
生殖細胞系列のゲノム再構成の新たな発症メカニズムを解明した。また、異数性レスキューがX不活化に与える効果を明らかとし、ヒト初期胚における染色体動態に関する新たな知見を得た。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に沿って研究を推進する。新たな染色体構造異常発症機序の解明を目指す。また、昨年度得られた知見を論文として公表する。
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