研究課題
セラミドの構造を4種の長鎖塩基(スフィンゴシン(Sph)、ジヒドロSph、フィトSph、6-ヒドロキシSph)と、4種の脂肪酸(通常、αヒドロキシ、βヒドロキシ、ω末端エステル型)の組み合わせ計16種で表記し、生体で存在が確認されている11種について実測値に基づく理論スペクトルライブラリを作成した。このうちβヒドロキシ脂肪酸を含むセラミドは純品が存在しないため、量子化学計算によってMS/MSにおける開裂部位を予測し、実測のスペクトルと一致することを確認した。セラミドにヘキソースが付加した構造も観測されるため、実測される分子種については配糖体の理論ライブラリも構築した。理論ライブラリは http://jcbl.jp/wiki/Special:GenerateSpectra において生成、ダウンロード可能とした。
2: おおむね順調に進展している
量子化学計算に時間がかかることが判明したが、その結果は概ね予測どおりであった。このため量子化学計算を逐一実施するよりも実測スペクトルから帰納的に理論スペクトルを作成するほうが妥当と考えている。
セラミドやスフィンゴミエリンは現在のリピドミクス技術で十分に測定可能だが、網羅的な測定の報告は非常に少ない。本研究で作成した理論スペクトルライブラリやその方法論を周知させることで、バクテリアから高等動物まで様々な種においてデータの蓄積が進むと考えられる。そのため複数の公共データベースを通じてスペクトルライブラリや同定法を公開し、多くの研究者に利用してもらう工夫をする。また、今回と同じ手法でフラボノイドやサポニンの解析を進め、質量分析計を用いた植物二次代謝物の同定をより簡便に、よりルーチーンに実施できるようにする。
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