研究課題
リピドミクス技術で一斉同定可能な脂質クラス約120について,以下の情報を整備した。1.国際標準に基づく構造略名,2. ポジティブおよびネガティブモードにおける主なアダクト,3. 標準的な理論スペクトルと主なフラグメントイオンと部分構造との関係。脂質クラスは大きく以下のカテゴリーに分けた。1. 脂肪酸 2.中性グリセロ脂質 3.グリセロリン脂質 4. プレノール脂質 5. スフィンゴ脂質 6. ステロール脂質。それぞれのカテゴリーにおいて,そのアミノ酸,コリン,エタノールアミン,糖などの付加体,グリセロ脂質の場合はエーテル結合型も考慮している。また,カルジオリピン,ビタミンA,ビタミンE,コエンザイムQ,リピッドA,ビタミンDについても,構造バリエーションを含めて理論スペクトルを作成した。胆汁酸と種々の植物ステロールにおける誘導体は,主要な母核構造のエステルと,ヘキソースホスファチジン酸付加体について作成した。これらの情報はLipidBlastライブラリの拡張版として公開し,MS-DIALソフトウェアで利用可能にしている。また脂質の国際コンソーシアムに参加してこれらのライブラリ構築を共同で進めると同時に,論文報告時のメタデータ記載法について国際標準化を呼びかける提言を論文として発表した。ライブラリに基づく具体的な測定として,ヒト血漿サンプルを国際共同研究として測定し,血漿における脂質分布の標準づくりにも貢献した。ヒト血漿の具体的な測定もおこない,抱合体などの代謝物を効率よく同定する手法も検討した。
2: おおむね順調に進展している
理論ライブラリを多くの脂質クラスについて作成し,公開した
作成した理論ライブラリを幅広く流通させる工夫をおこなう。またライブラリ構築の基本的な考え方も広めていく。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件)
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